eぶらあぼ 2014.1月号
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49第279回定期演奏会★2014年5月16日(金)第282回定期演奏会★2014年9月13日(土)第287回定期演奏会★2015年3月21日(土)会場:東京オペラシティコンサートホール第39回ティアラこうとう定期演奏会★2014年11月1日(土)・ティアラこうとう問 東京シティ・フィルチケットサービス03-5624-4002 http://www.cityphil.jp※発売日などの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 2012年の就任以来、“完全燃焼”を掲げて邁進してきた東京シティ・フィルの音楽監督・宮本文昭が、2014/15年に指揮者としての最後のシーズンを迎える。就任前インタビューした際に彼は、「3年の任期が終わったら指揮を辞める」と語っていた。これは、オーボエ奏者にもきっぱりと終止符を打った彼の“男の美学”なのだ。 来シーズン、宮本は同楽団の定期演奏会に3回登場し、「独襖もの」「ロシアもの」「フランスもの」を指揮する。これらは彼が継続して取り組んできたカテゴリー。そこで、「巨人」(5/16)、「展覧会の絵」(9/13)、「海」&「ダフニスとクロエ」(2015/3/21)など、集大成に相応しい演目が選ばれている。またティアラこうとう定期(11/1)では、「カルミナ・ブラーナ」を取り上げ、レクイエム等で続いた「声楽大曲」路線を締めくくる。 音楽監督として采配を振るう他の公演も意欲的なプログラムが並んで“男の花道”を見逃すな宮本文昭(指揮)東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 2014/15年シーズンいる。開幕は桂冠名誉指揮者・飯守泰次郎のブルックナー。ここでシティ・フィルの歴史を象徴し、他の指揮者陣には、垣内悠希、川瀬賢太郎、三ツ橋敬子ら、将来の大物候補を揃えた。ソリストにも福間洸太朗(ピアノ)、山根一仁(ヴァイオリン)、橋本杏奈(クラリネット)といった俊才を起用するなど、未来を見据えた登用が目を引く。さらに演目で特徴的なのが、随所に配したレア作品。中でも11月定期は、クラウス、ヴァイルの交響曲、ニールセンの協奏曲などファン垂涎の内容だ。 いずれにせよ、“音楽家”宮本の活動は続く。だが、来期は指揮者としての“男の花道”だ。文・柴田克彦宮本文昭Ⓒ有田周平 中低音が充実した、ふくよかにして確固たる響きで、滋味溢れる音楽が悠然と運ばれる。それは自然体でいながらコクがあり、聴く者に無類の充足感を与えてくれる…こうした今では貴重なブルックナー演奏を味わえるのが、巨匠ヴォルフ=ディーター・ハウシルト指揮する新日本フィルの公演だ。 新年1月、ハウシルトは同楽団の定期に登場し、シューベルト&ブルックナーの交響曲第4番を振る。1937年旧東ドイツ生まれの彼は、ライプツィヒ放送響をはじめドイツ各地の楽団のシェフを歴任し、ベルリンやエッセンなど歌劇場での実績も豊富な名指揮者。独襖王道ものはとりわけ高い評価を得ている。新日本フィルには、2002年に朝比奈隆の代役で振ったブルックナーの交響曲第5番で多くの聴衆に感銘を与えて以来、たびたび客演。懐の深い音楽は、オーケストラと聴衆の双方から支持を集め、共演を心待ちにしている楽団員も多いという。2012年の真の巨匠芸がもたらす本道の響きヴォルフ=ディーター・ハウシルト(指揮)新日本フィルハーモニー交響楽団500回記念定期を病気でキャンセルして心配させたが、2013年の「亡きボッセの想い出に」捧げる公演で復活して会場を沸かせ、待望の再登場と相成った。 今回の第4番は、第5、7、8、9番に次ぐ、同コンビ5曲目のブルックナー。曲調からメリハリ型の演奏も多い中、前記のような、スケールが大きく且つ味わい深い「ロマンティック」を聴かせてくれるのは間違いない。前半のシューベルトも、彼の交響曲の中で最も重厚な「悲劇的」だけに要注目。前回来日時の「グレイト」の名演からも期待は大きい。「オーケストラの音を変える」とも称されるハウシルト。その円熟の至芸を聴き逃してはならない。文:柴田克彦第519回定期演奏会 トリフォニー・シリーズ★2014年1月24日(金)、25日(土)・すみだトリフォニーホール ●発売中問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815http://www.njp.or.jpヴォルフ=ディーター・ハウシルトⒸK.Miura

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