eぶらあぼ 2014.1月号
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31プロムナードコンサート No.357★2014年2月8日(土)・サントリーホール ●発売中問 都響ガイド03-3822-0727 http://www.tmso.or.jp 現在の20代から30代の若手指揮者は世界的にみても台頭めざましく、ドゥダメルやネルソンスを筆頭として厚い層を形作っている。しかしヴァイオリニスト出身のガエタノ・デスピノーサは毛色が違う。若手の中にも他の楽器からの転向組はいるし、ヴァイオリニスト出身の指揮者も少なくないが、彼の場合、ドイツ音楽の伝統が息づく街、ドレスデン州立歌劇場のコンマスを5年間きっちりと務めあげた上での指揮者転向、しかも1978年生まれだからまだ30代半ばという若さなのだ。ヴァイオリンの師匠は自在な弓さばきで知られるサルヴァトーレ・アッカルド、指揮の師はオーケストラを極彩色に鳴らすファビオ・ルイジ。これらの出自が音楽にどのような色合いをもたらすのか、想像するだに興味深い。 そのデスピノーサが2月の都響のプロムナード・コンサートに登場する。スタンダードな選曲が基本のシリーズだけに、指揮者の力量がはっきりと出そコンマスから指揮者への華麗なる転身ガエタノ・デスピノーサ(指揮) 東京都交響楽団うだ。まず前半はブラームス「ハイドンの主題による変奏曲」から。変奏曲の名手ブラームスはこの曲で主題の可能性を徹底して引き出している上に、オーケストレーションも華麗。続くハイドン「協奏交響曲」では、ケルン放送響のコンマスまで務めた現都響ソロ・コンマスの四方恭子をはじめ、都響が誇る精鋭奏者たちが妙技を繰り広げる。そして後半はベートーヴェンの「運命」。がっちり作り込まれたドイツの王道交響作品がラインナップされているようだが、「協奏交響曲」あたりでイタリア風合奏協奏曲のテイストも顔を出すかもしれない。文:江藤光紀ガエタノ・デスピノーサⒸCarmen Kronspiess東京都交響楽団Ⓒ堀田力丸 團伊玖磨のオペラ《夕鶴》といえば、1952年の初演以来、すでに800回以上も上演されているという不朽の名作だ。その定番中の定番のフル上演に、佐藤しのぶが初挑戦というのはいささか意外。「自分のすべてを賭けたい」との所信を表明しているとおり、満を持しての初役となる。もちろん、伊藤京子や中沢桂といった、かつての「つう」の系譜に、彼女の名が連なるのは何の違和感もない。持ち前の、柔軟な歌唱力と幅広い表現力で、どんな新しい「つう」を演じてくれるのか、いやがうえにも期待が膨らむ。 製作陣がすごい。演出は、すでにオペラ演出も手がけている歌舞伎役者の市川右近、美術には現代日本を代表する日本画家・千住博。衣装には巨匠・森英恵。こうした豪華スタッフが結集して、従来の民話劇のスタイルにとらわれることなく、世界に通用する「和モダン」の舞台を創り上げるという。たしかに、日本ではあまりにも有名“普遍的な人間ドラマ”としての再創造オペラ 《夕鶴》 ―今月の表紙―な民話を素材とする物語(鶴の恩返し)だけに、小中学生でもわかりやすいというメリットと裏腹に、ともすると日本人だけに固有の作品像を結んでしまうという危険もあるのかもしれない。今回は、作品の本質だけを取り出して、普遍的な人間のドラマとして再創造するということになるのだろう。 もちろん演奏者も粒選り。倉石真(テノール/与ひょう)、高橋啓三(バス/惣ど)、原田圭(バリトン/運ず)、そして指揮の現田茂夫と万全の布陣。新たな息吹を得た《夕鶴》が、この1月から4月にかけて全国を巡る!文:宮本 明★2014年1月18日(土)・東京文化会館 3月29日(土)・Bunkamuraオーチャードホール ●発売中問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040他公演 2014/1/26(日)・栃木県総合文化センター、2/1(土)・よこすか芸術劇場、2/8(土)・シンフォニア岩国、2/11(火・祝)・島根芸術文化センターグラントワ、2/16(日)・熊谷文化創造館さくらめいと、3/14(金)・アクトシティ浜松、4/8(火)・アクロス福岡、4/12(土)・大阪/フェスティバルホール総合問合:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp佐藤しのぶ

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