eぶらあぼ 2014.1月号
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ぴっくあっぷ156 楽曲の持つエキセントリックな感情の振幅の大きさ―具体的には激しいテンポ変動やスフォルツァンド、アクセントの強調―に焦点を当てるよりは、一貫して落ち着いた足取りの中でていねいにバランスよく造形した「マラ5」。一種独得の静けさを感じさせるユニークな演奏で、例えば第1楽章での遅めのテンポによる沈鬱な表情、アダージェットでの何とも言えない高貴な表現は本当に聴き映えがする。最初はいささか地味な演奏と思われるかも知れないが、音楽的な完成度が実に高いので満足感は大きく、繰り返し聴き込みたくなる魅力に満ちている。音質も優秀。(藤原 聡)マーラー:交響曲第5番/イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭管◎マーラー:交響曲第5番イヴァン・フィッシャー(指揮)ブダペスト祝祭管弦楽団 作曲家・平尾貴四男は戦前パリで学び、戦後復興期の作曲界をリードしたが、46歳の若さで1953年に没した。その生誕100年を祝い2007年に行われたコンサートのライヴ録音。娘の平尾はるな(ピアノ)、孫の辻功(オーボエ)ら直系の音楽家が中心になって、主に戦後の主要室内楽作品を収録。愛らしい小品から本格的大作まで、フランス風のモダンなテイストが顔をだしたかと思えば、日本風情緒が歌われたりと曲想も多彩だが、どれも素直で、上質なアンサンブルの喜びを湛えている。ことに戦争直後の「ヴァイオリン・ソナタ」(1947)の充実した筆運びは、困難な時代に生きる作曲家の決意を伝えている。 (江藤光紀)平尾貴きしお四男作品集Ⅳ 生誕100年記念演奏会ライヴ平尾貴四男:◎オーボエ・ソナタ ◎子守唄 ◎ヴァイオリン・ソナタ ◎木管五重奏曲 ◎フルート・ソナチネ ◎フルート三重奏曲千々岩英一(ヴァイオリン)野口龍(フルート)辻功(オーボエ)平尾はるな(ピアノ) 他 世界最高峰のヴィルトゥオージティを誇るピアニストとオーケストラがタッグを組んだこの録音を形容するには、機動力や俊敏性といったサッカーの解説者が使うような言葉が似合うかもしれない。それほどに両者のキレ味がすごい。ラン・ランが繰り出す超高速パッセージにラトル率いるベルリン・フィルも負けじと食らいつく。そして次の瞬間には、オーケストラがイニシアティブを握る…。そんなスリリングな掛け合いが超人的な正確さとスピードで繰り広げられるのだから、リスナーは興奮せずにはいられないはずだ。この2作品の新たなる定番の誕生かもしれない。(大塚正昭)プロコフィエフ&バルトーク:ピアノ協奏曲集/ラン・ラン&ラトル&ベルリン・フィル◎プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ◎バルトーク:同第2番ラン・ラン(ピアノ)サイモン・ラトル(指揮)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団※演奏の一部等を収録した特典DVD付き (初回生産限定盤) 「ライプツィヒ・コラール集」は晩年を迎えたバッハが、それまでに書き溜めて来たコラール作品の中から、集大成的に編んだオルガン曲集。継続的にバッハを取り上げている松居は今回、ドイツ北部・ゴスラーにある聖ゲオルク参事会教会に設置された、1737年製の名オルガンをパートナーに、この重要作品の録音に臨んだ。この曲集では半ばまでしか記載のない終曲(BWV668)は、「フーガの技法」に含められた完全な形で収録。たっぷり時間をかけてリラックスしながらも、真摯に取り組まれた演奏は、聴き進めるうち、自然と居住まいを正してしまうほど。凛とした空気に、包まれている。(寺西 肇)J.S.バッハ:ライプツィヒ・コラール集/松居直美◎J.S.バッハ:ライプツィヒ・コラール集BWV651〜668a松居直美(オルガン)収録:2012年9月、ブダペスト芸術宮殿東京エムプラス/CHANNEL CLASSICSRCCSSA34213 ¥3400収録:2007年7月,2008年4月、東京文化会館(ライヴ)コジマ録音ALCD-9136〜37(2枚組) ¥3780収録:2013年2月,4月、ベルリン、フィルハーモニーソニーミュージックSICC30140〜1 ¥2940収録:2012年6月、ドイツ、ゴスラー、聖ゲオルク参事会教会カメラータ・トウキョウCMCD-15135〜6(2枚組) ¥3150CDCDCDSACD

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