eぶらあぼ 2014.1月号
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5原則をまとめます。原則1 壁は固く原則2 床もしっかりと原則3 平行面をなるべく避ける原則4 吸音は部屋の四隅で原則5 反射面と吸音面の両方を考える 音響工学の永田先生と話していると、上記5原則の中でも「これは絶対守るべき」というものと、「ここはあんまり神経質にならずに…」というようなニュアンスの差を感じました。絶対まもるべき…原則1と2。ひょっとすると4も。あまり神経質にならずに…原則3と5みたいな感じです。 構造部分は、ひとたび作ってしまうと後からおいそれとやり直しができませんから、後からのやり直しが大変な1と2はしっかり作っておくことが大事なんでしょう。 また、響きの心地よさって、壁の素材、家具の入り方、楽器の種類やサイズなど、いろいろな要素が関係していると思うんです。例えばふつうの家の床・天井や壁を平行にしない、っていうのは結構大変だと思いますが、ほかの要素とうまくかみ合わなければ、せっかくの苦労に見合う響きが得られません。ですから個別の原則をどこまで厳密に守るか、ということは、やはり苦労対効果で考える必要もあると思います。 さらに言えば、響きの良しあしを最終的に決めるのは人間の感覚になるので、いくら理屈通りにつくっても、ただちに自分の気にいるとは限らないと思います。吸音と反射のバランスなど、設計段階できちきちに詰めるよりも、完成してから中に物を置いたりしながら少しずつ調整していったほうが無難ということもあるでしょう。永田先生はきっとそういうことをお考えなのだろうと推測しています。 拙宅で言えば、出来上がった直後は真ん中のドから1オクターブ下のドから少し下、70-100Hz付近がぼやける印象がありました。床でも共振しているのかと永田先生に見てもらいましたら、それは違うと。結論を言えば、部屋のサイズで決まる特定の周波数の盛り上がりが、ちょうど僕がピアノを弾く位置で目立ちやすかったということでした。これは単純にピアノを弾く位置をちょっとずらして問題解決。僕さえ心地よくピアノが弾ければいいのですから ! 10畳以下のサイズになると、壁・床がしっかりしていた方が良いことは前提として、その上では吸音面にこだわるよりも、本棚などの置き方などがずいぶんと影響があるようです。またオーディオを聴く場合も、発音体からのエネルギーが全然小さいので、壁・床の影響はもっと小さくなるそうです。このようなケースバイケースはありますが、基本5原則を念頭におきつつ、それぞれの好みや状況に応じていろいろと工夫をこらして、どうか皆様もよい音楽室で素敵な音楽を愉しまれることをお祈りしております。文:上杉春雄#27 木造音楽室設計の基本5原則 その4informationバッハ平均律にみる世界観XI講師:中野雄(音楽プロデューサー) 上杉春雄(ピアニスト)★2014年1月25日(土)13:00・新宿/朝日カルチャーセンター 朝日JTB・交流文化塾問:朝日カルチャーセンター03-3344-1945http://www.asahiculture.com/shinjuku/春畑セロリ(作曲家)と上杉春雄の「音楽薬膳」★2014年1月26日(日)14:00・横浜市栄区民文化センターリリス問:コレーゲステーション045-821-3926※詳細はWEB(www.uesugi-h.jp)でご確認くださいphoto by Takahiro Hoshiai1988年にサントリーホールでデビュー・リサイタルを行い、東芝EMI(現ユニバーサルミュージック)より4枚のアルバムを発売。オーケストラ・アンサンブル金沢、東京フィル、読売日響などのオーケストラや、池辺晋一郎、川本嘉子らと共演、NHK「芸術劇場」でも活動が紹介される。バッハの平均律全曲演奏会は高い評価を得た。東京大学大学院修了。医学博士。HP:http://www.uesugi-h.jp/うえすぎ・はるお149
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