eぶらあぼ 2013.12月号
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80★12月21日(土)・紀尾井ホール ●発売中問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp クリスマスに相応しい、幻想的な響きに身を浸してみたい。 18世紀初めに開発され、当時の作曲家がこぞってこの楽器のために作品を書くなど、一世を風靡した「グラスハーモニカ」。今年の《紀尾井クリスマス・コンサート》は、今日では演奏される機会の極めて少ない、この楽器の名手である「ウィーン・グラスハーモニカ・デュオ」を迎え、その神秘の音色を堪能する。 グラスハーモニカは、濡れた指でグラスの縁を撫でて振動させることで音を出し、グラスに注いだ水の量で音階を作る。浮遊感と透明感のある音色が魅力的だ。18世紀には、複数のグラスを軸に通して回転させて音を出す、機械式の楽器が発明されて大流行。モーツァルトをはじめとする作曲家達の作品が残っている。しかし、演奏者が指先を痛めやすいことなどから徐々に衰退し“幻の楽器”となった。 共にヴァイオリニストとして活動して聖夜に響く神秘の音色ウィーン・グラスハーモニカ・デュオ 紀尾井クリスマス・コンサート2013いたクリスタ&ゲラルド・シェーネフェルディンガー夫妻は1990年代初め、この埋もれた楽器と出会い、「ウィーン・グラスハーモニカ・デュオ」を結成。18世紀のオリジナル作品から現代の前衛作品まで、幅広いレパートリー挑戦を続けている。今回のステージでは、モーツァルト「グラスハーモニカのためのアダージョ」などのクラシック作品からクリスマスにちなんだ名曲、さらに井上静香(ヴァイオリン)ら弦楽四重奏を交えてのアンサンブルまで、多彩に披露。ガラスが生む癒しの音色を、ぜひとも体感してみたい。文:笹田和人ウィーン・グラスハーモニカ・デュオ井上静香ⒸChihoko Tanefusa 2010年にライプツィヒで開かれたバッハ国際コンクールで2位入賞を果たすなど、数々の受賞に輝いた俊英ヴァイオリニスト、佐藤俊介。国際的に活躍を続けている彼が、第一生命ホールのシリーズ《昼の音楽さんぽ》に登場、大バッハの無伴奏作品をモダンとバロック、2つの仕様の楽器で弾き分けるユニークなステージを展開する。 東京出身の佐藤は2歳でヴァイオリンを始め、4歳で渡米。ジュリアード音楽院でドロシー・ディレイらに師事。2003年からはパリ市芸術大などに学んだ。「古楽に興味を持ったのは、ヨーロッパに移ってから。様々な疑問への“解決手段”となった」と佐藤。現在は、ミュンヘン音大で研鑽を積む一方、古楽・モダンを問わず、一流楽団に客演を重ねている。 「音楽を通して“語る”ことが最も大切」と熱い思いを語る佐藤。「それは、使う楽器がバロックかモダンかという二刀流でバッハに迫る第一生命ホール 昼の音楽さんぽ 第16回 佐藤俊介(ヴァイオリン)ことには関係がない。ただ、常にきれいに弾いて終わり、じゃだめ。聴いて衝撃を受けたり、涙が止まらなかったり、聴き手が新しい“何か”を家に持って帰れる演奏をすべきです」。 今回は、まずバロック・ヴァイオリンを使い、17世紀イギリスで活躍したドイツ人作曲家バルツァーの「グラウンドによるディヴィジョン『ジョン、さあキスして』」とバッハの「無伴奏パルティータ第3番」を。さらに、モダン楽器に持ち替え、「無伴奏ソナタ第3番」を披露。「モダンとバロックを、もっと往き来のある世界にしたい」と語る佐藤自身にとっても、念願のステージと言えそう。文:寺西 肇★12月10日(火)・第一生命ホール●発売中問 トリトン・アーツ・ネットワーク・チケット  デスク03-3532-5702http://www.triton-arts.netⒸSakai Koki

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