eぶらあぼ 2013.12月号
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72リチャード・リン ★12月6日(金) ソヌ・イェゴン ★12月14日(土)会場:日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター) ●発売中問 仙台市市民文化事業団コンクール推進課022-727-1872http://www.simc.jp “楽都”仙台で3年に1度開催される、仙台国際音楽コンクール。出場者のレベルは回を重ねるごとに高くなり、また入賞者たちのその後の飛躍も目立つことから、最近ますます注目を集めている。そして今年5〜6月に開催された第5回で、再び新たなスターが誕生した。12月には、仙台で優勝者による記念演奏会が行われる。 ヴァイオリン部門を制したリチャード・リンは、アメリカ生まれ台湾育ちの22歳。カーティス音楽院を経て、この秋からジュリアード音楽院修士課程で学ぶ。生き生きとした音色、情感豊かで訴えかけるような音楽性を持つ。ベートーヴェンのソナタ第1番、グリーグのソナタ第3番、サラサーテの小品で、高い表現力を生かした多様な顔を見せてくれるだろう。 ピアノ部門優勝、韓国のソヌ・イェゴンもまたジュリアード音楽院で研鑽を積み、現在マネス音楽院で学ぶ24歳。コンクール入賞歴だけではなく世界の舞台へと羽ばたく才能第5回 仙台国際音楽コンクール優勝記念演奏会リチャード・リン(ヴァイオリン) ソヌ・イェゴン(ピアノ)既に演奏経験も豊富な彼は、グレインジャーの「R.シュトラウスの《ばらの騎士》終幕から愛の二重唱による散歩」、ベートーヴェンのソナタ第30番、ラヴェル「ラ・ヴァルス」、シューベルトからはリスト編曲の歌曲と「さすらい人幻想曲」という、聴きごたえあるプログラムを用意。優しげな外見に似合って力強くもとても丁寧なピアノを弾く彼の魅力が冴える内容だ。 記念演奏会に合わせて、コンクールの抜粋が収録されたライブ録音CDもリリースされる予定だ。この機会に、仙台から羽ばたく精鋭の実力を確かめておこう!文:高坂はる香リチャード・リンソヌ・イェゴン 山田一雄や團伊玖磨ら日本音楽界の重鎮たちの熱い魂を受け継ぎ、創立から40年余りを経た神奈川フィル。神奈川県における芸術文化の一端を担う一方、日本各地での演奏活動にも力を注いでいる。ボランティア・コンサートなど地域に根差した地道な企画や、時にポップスへも特化する柔軟な活動ぶりは多方面から注目を浴び、今や他のオーケストラのお手本にもなっている。 さらなる飛躍を目指す新たな年の幕開けを、美しい音楽で彩るニューイヤーコンサートは、このオーケストラを愛する地元の音楽ファンたちへの感謝を詰め込んだ“音楽のお年玉”とも言えそうだ。 今回のニューイヤーコンサートのタクトはもちろん、2009年に常任指揮者へ就任して以来、同フィルに新しい風を吹かせてきた若きマエストロ・金聖響が担当する。ステージではまず、共にショパン国際ピアノコンクールでオーケストラからの“音楽のお年玉”神奈川フィルハーモニー管弦楽団 ニューイヤーコンサート2014入賞経験のある高橋多佳子と宮谷理香による「デュオ・グレイス」をゲストに、「白鳥」など有名曲も含むサン=サーンス「動物の謝肉祭」全曲を聴く。金&神奈川フィルとの、丁々発止のやり取りが期待できそう。そして、かつてウィーン国立音大で研鑽を積んだ金が、J.シュトラウスⅡのオペレッタ《こうもり》序曲をはじめ、「美しく青きドナウ」「雷鳴と電光」など、本場仕込みのウィンナ・ワルツやポルカをたっぷりと披露する。文:笹田和人★2014年1月5日(日)・神奈川県立音楽堂 ●発売中問 神奈川フィルチケットサービス045-226-5107http://www.kanaphil.or.jp金 聖響ⒸEisuke Miyoshiデュオ・グレイスⒸAkira Muto
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