eぶらあぼ 2013.12月号
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58★2014年5月28日(水)、29日(木)・よみうり大手町ホール ●発売中問 よみうり大手町ホール03-6739-5838http://yomi.otemachi-hall.comマークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます) 2014年3月、東京・大手町にエンタテインメントの創造と、文化・情報の発信拠点が新たに誕生する。「よみうり大手町ホール」は、読売新聞東京本社新社屋内にオープンする約500席の空間。優れた音響や充実した映像設備、さらに能舞台の設定も可能で、ここから生まれる新たな文化の潮流が期待されている。そのオープニングシリーズに、古楽界の先駆者シギスヴァルト・クイケン率いる名アンサンブル「ラ・プティット・バンド」が登場。J.S.バッハ珠玉の管弦楽作品を響かせ、ホールの幕開けを告げる。 ラ・プティット・バンドは、ベルギーを拠点に活躍、世界的に知られている古楽アンサンブル。一度は失われたバロックヴァイオリン奏法を復活させたクイケンらにより、1972年に設立された。以後、高まりを見せる古楽ムーヴメントの中心的存在であり続ける一方、“幻の楽器”となっていた肩掛けチェロ「ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ」新ホールで聴くバッハの真髄よみうり大手町ホール開館記念 ラ・プティット・バンドの復活演奏にいち早く取り組むなど、結成から40年余りを経てなお、先鋭さに陰りを見せない。 今回のステージでは、バッハがライプツィヒで主宰したアンサンブル「コレギウム・ムジクム」が1725〜31年頃に演奏したとされる、管弦楽組曲全4曲を披露。今年9月にACCENTレーベルから発表した最新盤では、1パートを1人の奏者で演奏、新鮮な響きで好評を得ただけに、名演が期待できそう。さらに、やはり不朽の名作「ブランデンブルク協奏曲」から第5番も併せて演奏されるとあっては、古楽ファンならずとも目が離せないステージとなるだろう。文:寺西 肇 都響が毎年企画している《日本管弦楽の名曲とその源流》は、現代日本の作曲家の主要作とともに、その作曲家と関連のある欧米の曲(すでに古典となっている作品が多い)をセットにして年間2プログラム上演するもので、今年9年目を迎えた。在京オケが定期演奏会で邦人作品を取り上げる貴重な場だが、昨年からプロデューサーが別宮貞雄から一柳慧にバトンタッチ、選曲のテイストも変わってきた。過去を振り返るだけでなく、時代の一歩先を予見する先鋭性が出てきたように思う。 第18回は安良岡章夫(やすらおか・あきお)にスポットを当てる。安良岡は1958年生まれの55歳。東京芸大で作曲を教えると同時に、現代曲を専門に演奏する室内オーケストラ、アール・レスピランを設立。創作・教育・演奏実践と、日本の現代音楽の最前線を走っている。今回は協奏的作品が2曲取り上げられるが、いずれ最前線の響きを堪能梅田俊明(指揮) 東京都交響楽団 日本管弦楽の名曲とその源流―18もあらゆるパートが独立的に動きながら躍動し、独奏者と密度の濃い饗宴を繰り広げていく。「レイディアント・ポイントⅡ」(2001/05)は多彩な音色を次々に炸裂させる打楽器ソロ(安江佐和子)に、金管楽器をはじめとするオーケストラが束になって襲い掛かる。「ポリフォニア」(1996)はヴィオラと各楽器が緻密な絡みを見せたかと思えば、管弦楽が独奏者を波のように包んでいく。そしてシェーンベルク初期の無調作品で後進の作曲家に大きな影響を与えた「5つの管弦楽曲op.16」。管弦楽の緻密な扱いは安良岡に通じるものもある。ヴィオラ・ソロの川本嘉子はかつて同団ヴィオラ首席も務めた。古巣との共演だ。指揮の梅田俊明は都響との共演歴も長く、安定したリードを見せてくれるだろう。文:江藤光紀第765回定期演奏会Aシリーズ★2014年1月23日(木)・東京文化会館●発売中問 都響ガイド03-3822-0727http://www.tmso.or.jp梅田俊明 Photo:三浦興一川本嘉子安江佐和子

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