eぶらあぼ 2013.12月号
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45★2014年1月9日(木)・トッパンホール ●発売中問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 http://www.toppanhall.com第567回 サントリーホール名曲シリーズ ★2014年1月7日(火)・サントリーホール第5回 東京オペラシティ・プレミアムシリーズ ★1月8日(水)・東京オペラシティコンサートホール第5回 読響メトロポリタン・シリーズ ★1月9日(木)・東京芸術劇場●発売中 問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jp 新年にシューマン&ラヴェル…これは大人のニューイヤー・コンサートと言うべきか。読売日本交響楽団の2014年は、常任指揮者カンブルランとピアノのロジェ・ムラロのフランス・コンビによる冒頭2人の作品で始まる。 まずはカンブルランお国もののラヴェル。読響に精緻な美感と色彩感をもたらした彼の本領を聴くには、“管弦楽の魔術師”の作品がまさしく相応しい。「高雅で感傷的なワルツ」と「スペイン狂詩曲」の対照も妙味充分。特に“硬質の優美さ”ともいうべき独特の肌合いをもつ前者は、オーケストラでの生演奏が案外少なく、カンブルランで聴ける喜びは大きい。後者は、スペインのエキゾチズムが透明な色彩によって描かれる、華やかながらもデリケートな作品。カンブルラン&読響の特質からみて、普段日本では耳にし得ない音の配合を体感できるに違いない。 前半に戻ってシューマン。カンブルいつもとは違った、美し過ぎるニューイヤーシルヴァン・カンブルラン(指揮) 読売日本交響楽団ランのシューマンといえば、読響の重厚な響きを生かしつつ明晰な構築が成された今年9月の交響曲「春」が印象的。今回の「マンフレッド」序曲では、分厚い響きと幻想的なロマンが明快に解きほぐされた、瑞々しい演奏が期待される。そしてピアノ協奏曲。こちらは震災直後の2011年4月に堂々来日し、ラヴェルの協奏曲2曲で聴衆を魅了した好漢ムラロの独奏が興味津々。このメシアンの権威のクリアなピアノが技巧的な細部を鮮烈に描出し、整頓されたバックと相まって、既存の楽曲像を一新する予感が漂う。 “魔術師”的な作曲者と演奏者が揃ったコンサート。なかなか粋な年初めだ。文:柴田克彦シルヴァン・カンブルランⒸT.Uranoロジェ・ムラロⒸAlix Laveau 創意に溢れた魅力的なプログラムで毎年人気のトッパンホール・ニューイヤーコンサート。2014年も、「室内楽ホールで2大オーケストラ曲を聴く!」という実に興味深いテーマが掲げられている。プログラムは、ホルストの組曲「惑星」とストラヴィンスキーのバレエ「春の祭典」。この壮麗な2大傑作を結ぶキーワードは「メモリアル・イヤー」だ。前者は100年前に作曲が開始され、後者は今年がちょうど初演から100年目ということで話題になっている。 前半の「惑星」は、サックス界の巨匠・須川展也が率いるトルヴェール・クヮルテットと小柳美奈子のピアノによる五重奏版で演奏。注目なのは、単にサックス・アンサンブルのための甘美な編曲というだけでなく、編曲者の長生淳が新たに作曲した「彗星」「冥王星」「地球」が加えられていること。また、おなじみの「木星」の冒頭にモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」の旋律が現れるのも聴きどころだ。オーケストラ作品の金字塔をコンパクトな編成で聴くトッパンホール ニューイヤーコンサート 2014 そして後半の「春の祭典」は、作曲者自身の編曲で、原曲に極めて近いと言われる2台ピアノ版による演奏。不協和音や変拍子が複雑に絡み合うため、高い技術と完璧なアンサンブルが求められるこの難曲に挑むのは、永野英樹と金子三勇士だ。永野の経験や柔軟性と、金子の瑞々しい感性。2つの才能がタッグを組むことで、初演当時の賛否両論の興奮の渦を再現するだけでなく、作品の新たな魅力も引き出してくれるに違いない。文:渡辺謙太郎トルヴェール・クヮルテット永野英樹&金子三勇士Ⓒ藤本史昭

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