eぶらあぼ 2013.12月号
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ぴっくあっぷ186 現代オペラ界で最も高い人気と実力を誇るスター・テノールのソニー移籍第1弾アルバム。ヴェルディ・イヤーに合わせてのリリースだが13曲のアリアと場面のうち、マントヴァ公爵とカルロ王子以外はすべて(録音時)初挑戦のプレミエ歌唱。〈清きアイーダ〉を締めくくるラダメスの美しいピアニッシモ、リリカルから一気にヒロイックに転じるマンリーコ(今年の夏にバイエルンで成功を収めたばかり)、強靱さと繊細さを併せ持つ複雑なオテロ…と、そのすべてに従来の朗々とした“イタオペ歌唱”以上の内面的深みが感じられる。カウフマン自ら書き下ろした曲目解説もファン必読!(東端哲也)ヴェルディ・アルバム/ヨナス・カウフマン◎ヴェルディ:《リゴレット》《アイーダ》《仮面舞踏会》《トロヴァトーレ》《シモン・ボッカネグラ》《ドン・カルロ》《運命の力》《オテロ》よりのアリア 他ヨナス・カウフマン(テノール)ピエール・ジョルジョ・モランディ(指揮)パルマ歌劇場管弦楽団ピアチェンツァ市立劇場合唱団 現代ヴァイオリン奏法における、究極の美を体感できる名演。ビロードのように艶やかな音色が、卓越した音楽性により、繊細なニュアンスを纏ってゆく。ベートーヴェンのソナタと言えば、弓の圧をいっぱいにかけた暑苦しい演奏をよく耳にするが、名匠プーレは真逆。75歳を迎えたとは思えない自在な弓運び、特に制御し尽くされた先弓での微妙な表現で、聴く者の耳を捉える。しかも、青年作曲家の心の揺れを投影した第7番、愉悦に満たされた第6番、そして陽光に溢れた第5番「春」と、異なる空気感を持つ3曲の弾き分けが見事。川島の名サポートぶりも、特筆に値する。(寺西 肇)ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番〜第7番/ジェラール・プーレベートーヴェン:◎ヴァイオリン・ソナタ第7番 ◎同第6番 ◎同第5番「春」ジェラール・プーレ(ヴァイオリン)川島余里(ピアノ) 「ヴァイオリンとギターの相性がこんなにも良かったのか!」と驚かされること間違いなし。川田知子と福田進一、名手2人の共演で贈る贅沢な1枚だ。ガルデルやピアソラの郷愁的な音楽が、福田の温かいギターの上で川田のヴァイオリンによって歌われると、実に瑞々しくのびやかに聴こえてくるのが面白い。この2つの楽器のアンサンブルの端緒の一つと言えるパガニーニの2曲は、輝きと闇の双方を、充実した筆致であざやかに描出。そして最後は、福田編曲のJ.S.バッハ「G線上のアリア」で優美にしっとりと結ばれる。「大人」の2人ならではの心憎い演出だ。(渡辺謙太郎)我が懐かしのブエノスアイレス/川田知子&福田進一ガルデル:◎首の差で ◎我が懐かしのブエノスアイレス ピアソラ:◎ナイトクラブ1960 ◎アヴェ・マリア ◎最後のラメント アズマ:◎ワルツ風に ◎隣人 パガニーニ:◎チェントーネ・ディ・ソナタ第1番 ◎ロマンス ◎J.S.バッハ「G線上のアリア」 他川田知子(ヴァイオリン)福田進一(ギター) 巨匠チェリストが遺した名盤、待望の再リリース。“ジャンドロンが弾くフォーレ”となればいかにも王道のように思えるが、意外にも、ソナタ第1番は当時52歳の彼にとって、初の録音だったという。まるで全3楽章を“一筆書き”したような構成美あふれるソナタと、作曲者と共に演奏した経験があるというラヴェルの「フォーレの名による子守唄」を枠組みに、小品の数々を詰め込んだ宝石箱のようなアルバム。奏者の思い入れもひしひしと伝わり、とても40年以上前の録音とは思えない。さらには岩崎の澄み切ったピアノの音色も相まって、まるで昨日録ったかのように瑞々しい。(寺西 肇)ジャンドロン=フォーレ/モーリス・ジャンドロンフォーレ:◎チェロ・ソナタ第1番 ◎エレジー ◎夢のあとに ◎シシリエンヌ ◎ラヴェル:ガブリエル・フォーレの名による子守唄 他モーリス・ジャンドロン(チェロ)岩崎淑(ピアノ)収録:2013年3月、パルマ、ニコロ・パガニーニ・オーディトリアムソニーミュージック SICC-30143 ¥2730収録:2011年4月,7月、相模湖交流センターコジマ録音ALCD-7181 ¥2940収録:2013年6月、横浜みなとみらいホールマイスター・ミュージックMM-2167 ¥2957収録:1972年11月、東京,埼玉カメラータ・トウキョウCMCD-20204 ¥2100CDCDCDCD

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