eぶらあぼ 2013.11月号 64/209

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61【CD】『バリトンでうたう愛の歌』ベルタレコードYZBL-1035 ¥250010月23日(水)発売 “声楽家”本岩孝之が、CD『バリトンでうたう愛の歌』をリリース、そして記念コンサートを開催する。自身6枚目となる今回のアルバムは、実は初めて“バリトンのみでの”CDとなった。そう、本岩孝之は、カウンターテナーからバスまでをこなすという驚くべき喉の持ち主なのだ。どのような経緯でこのような驚異的なことができるようになったのだろう? 「もともとテノールで勉強していて、大学にもテノールで入ったのですが、先生からバリトンやバスの曲も歌えると言われて、やってみたら低い声も出たわけです。ただ、声質的にはテノール的な繊細さがあるので、僕自身はやはりテノールだと思っていましたし、イタリアに留学したときもテノールとして先生に教えてもらいました。その後90年代に入って、ちょうどカウンターテナーが流行り始めたときに、『僕もできるよ』と軽い気持ちで関係者に聴かせたところ、それはすごい!っていうことで仕事がきたんです(笑)。僕にしてみれば、裏声で歌うというのは少年少女合唱団のころにすでに覚えていたことで、難しいことではなかったのですけれどね」 カウンターテナーとして歌うことに並行して、バリトンでもオペラの役を歌い、さらにテノールとしても訓練を続けた。「どれかに決めるべきと散々悩みましたが、やがて全部をやってもいいのじゃないか」と思うようになった。一回のコンサートで、バス、バリトン、カウンターテナーのすべての声を聴かせることでファンを増やしている。今回のCDとコンサートは、すべてバリトンで歌われるものだが、選曲はクラシック・ファンにはお馴染みの名曲からシャンソン、富士山にちなんだ曲など、かなり多彩。 「去年くらいから『バリトンだけのCDは無いのですか?』と聞かれることが多くなってきたので、そうしたリクエストにお応えしようと、今回は“オール・バリトン”ということになりました。プログラムについては、私の好きな曲を選んだということなのですけれど、みなさんの普段の生活のなかに、もっともっとクラシック音楽を取り入れて欲しいという願いがありますので、聴き心地の良さは大切に考えますね」 自然豊かな山梨に惚れ込み、甲府へ居を移した。来年は日本の文化と西洋音楽の融合を図った《MABOROSI〜オペラ源氏物語》(林望作劇・二宮玲子作曲)で主演も務める。 「私はクラシック音楽が大好きです。その素晴らしさを、心から多くの方々にお伝えしたいのです」 稀有な才能を生かす本岩孝之の多彩な活動の原点は、この言葉に集約されているといえるだろう。取材・文:吉羽尋子★11月22日(金)・池袋/自由学園明日館 ●発売中問及川音楽事務所03-3981-6052http://oikawa-classic.com愛の歌はバリトンがふさわしい本岩孝之(声楽)インタビュー 今ある中で、おそらくもっとも叙情的な音楽を我々に届けてくれるピアノ・トリオの一つだろう。ヨーロピアン・ジャズ・トリオ(EJT)。1984年にオランダで結成されて以来――何度かのメンバー・チェンジはあったものの――30年近くにわたって欧州ジャズ・シーンの一角を担ってきた人気ユニットである。そのEJTが日経ホール主催「日経ミューズサロン」に登場する。ジャズ・スタンダードのみならず、ポップスや映画音楽、さらには日本の抒情歌や歌謡曲まで幅広いレパートリーを誇る彼ら。今回の公演でも多彩なジャンルの曲が披露される予定だが、中でも楽しみなのが特に彼らが得意とするクラシックのジャ洗練されたジャズで聴くクラシックの名曲ヨーロピアン・ジャズ・トリオ 第419回 日経ミューズサロンズ・アダプテーションだ。洗練の極みともいえるトリオ・サウンドで、バッハ、ショパン、マスネ等の名曲がどのように生まれ変わるのか。ホール・コンサートならではの、余韻のあるアコースティックを生かしたソノリティの妙と併せて、存分に味わいたい。文:藤本史昭★12月2日(月)・日経ホール ●発売中問 日経ミューズサロン事務局03-3943-7066 http://www.nikkei-hall.com/

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