eぶらあぼ 2013.11月号
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45 12月に入ると、今年も全国各地で毎日のように演奏されるベートーヴェンの「第九」。どれを聴くか選びかねている方に、2013年の聴き納めとしてお薦めなのが、ウクライナの名門・キエフ国立フィルが高らかに歌い上げる歓喜の歌だ。指揮を務めるロシアの名匠アンドレイ・アニハーノフに、公演の抱負や聴きどころをきいた。 1991年にミハイロフスキー歌劇場と初来日。以来、毎年のように来日し、2009年からは東京ニューシティ管の客演指揮者も務めている親日家のアニハーノフ。日本で「第九」を指揮した回数は約20回にも及ぶという。 「日本ほど『第九』が好きな国はないと思います。年が改まる直前にこの作品を聴くことで、新年の幸福や希望を祈る。いわばシンボルとして、文化に深く根付いているのでしょうね。そういう環境で『第九』を数多く指揮できることは大きな喜びです」 楽器、編成、奏法など、実に多彩な解釈が存在する「第九」。そんな中、アニハーノフは「現代に合った解釈」を大切にしたいと語る。 「ベートーヴェンが生きていた当時ではなく、現代の皆さんの多くがこの作品に求めている演奏をしたいのです。例えば、ヴィブラートをあえてたっぷり使って、雄大でロマンティックな要素を前面に押し出すとか。私自身、カラヤンが弾き振りしたJ.S.バッハのブランデンブルク協奏曲の演奏が大好きでしたしね(笑)。聴き慣れた作品でも、それを初めて聴くような瑞々しい感動を皆さんにお届けする。それが常に私の目標です」 1995年に創設され、現在は東欧の最も優れたオーケストラの一つとして評価を確立しているキエフ国立フィル。だが、意外にも、アニハーノフが同団を指揮するのは今回が初めてだそうだ。 「ソ連崩壊によってロシアとウクライナに国が分かれてしまったので、近接していてもなかなか指揮する機会に恵まれませんでした。彼らは結成から20年に満たない若いオーケストラですが、ペンデレツキやテオドラキスなどの作曲家や、クレーメル、バシュメット、アッカルドといった著名演奏家との共演も多く、着実に実績を積み重ねています。今回は来日前に現地でリハーサルを行うので、しっかり準備して臨むつもりです」 ソプラノのアッラ・ロディナをはじめとする4人のソリストは、いずれも地元キエフで活躍する実力派。合唱は、今回のために特別編成された「第九」公演記念合唱団(12/23は札幌アカデミー合唱団)が務める。アニハーノフのタクトの元、熱く重厚な“歓喜の歌”となるに違いない。取材・文:渡辺謙太郎アンドレイ・アニハーノフ(指揮) キエフ国立フィルハーモニー交響楽団 「第九」★12月23日(月・祝)・札幌コンサートホールKitara(オフィス・ワン011-612-8696)、28日(土)・東京オペラシティコンサートホール(テンポプリモ03-5810-7772) ●発売中 http://tempoprimo.co.jp現代に合った解釈の「第九」をお届けしたいアンドレイ・アニハーノフ (指揮)インタビュー 日本とベトナムが外交樹立40周年を迎える今年、ピアノ界における両国の友好の証として、日本ベトナムピアノフェスティバルが開催される。総音楽監督を務めるのは、2004年からベトナムで子供たちとの触れあいコンサートを継続している、ピアニストの樋口あゆ子。 フェスティバルでは、樋口自身によるクラシックの名曲やベトナム民謡の演奏に加え、冒頭に日越両国の若手が登場する。ベトナムからは、ベトナム国立音楽大学ののちモスクワのグネーシン音楽院で学ぶベトナムピアノ界のホープ、グエン・ビン・アン。日本からは、先の仙台国際音楽コンクー食と音楽でベトナムを深く識る第1回 日本ベトナムピアノフェスティバル 2013ルで5位に入賞するなど、さらなる飛躍が期待されている片田愛理。2台ピアノでモーツァルトのピアノ協奏曲第7番を演奏し、友好の宴の開幕を飾る。レセプションではベトナム料理がふるまわれ、ベトナムの伝統音楽も披露される予定だ。 食と音楽でベトナム文化を知り、フレッシュなモーツァルトで両国の深い交流を実感するひとときとなりそう。文:高坂はる香★11月12日(火)・横浜みなとみらいホール レセプションルーム問横浜みなとみらいホールチケットセンター045-682-2000http://www.yaf.or.jp/mmh他公演 11/9(土)・カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」(東音企画03-3944-1581)樋口あゆ子
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