eぶらあぼ 2013.11月号
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ぴっくあっぷ182 アルゼンチン・フォルクローレの巨匠ユパンキ始め、20世紀に活躍したラテンアメリカの作曲家による美しい小品ばかりを収録。谷辺昌央は幼少からギターを学び、東京大学卒業後、ケルン音楽大学、カールスルーエ音楽大学で研鑽を積んだ。民族的な香り濃い音楽を実に自然に紡ぐ。特にダンスに由来する楽曲は、谷辺の優しい音、センスの良いリズム感で奏でられ、異国の作品であるにも拘わらず強い親しみを感じる。モンターニャのコロンビア組曲第2番は日本初録音。また、ピアノ版が原曲であるミニョーネの「街角のワルツ」ギター編曲版は世界初録音。語りかけるような音楽がしみじみ胸に響く。(高坂はる香)すべての人のための祈り〜ラテン・フォルクローレの煌めき/谷たに辺べ昌まさ央お◎アジャーラ:セリエ・アメリカーナより ◎バリオス・マンゴレ:フリア・フロリダ ◎モンターニャ:コロンビア組曲第2番 ◎ミニョーネ:街角のワルツ第8番 ◎ユパンキ:おじいさんの歌第2番 ◎バリオス・マンゴレ:すべての人のための祈り 他谷辺昌央(ギター) 今年3月に惜しまれつつ逝去した元ウィーン・フィルの首席フルート奏者・シュルツの追悼盤。協奏交響曲は、彼を抜いたアンサンブル・ウィーン=ベルリンの4人が独奏を務める2010年ウィーンでの私家盤用の録音で、メンバーからの「追悼アルバムにぜひ」との要望により収録されたという。後の2曲は、2011、12年草津音楽祭のライヴ演奏で早き最晩年の名奏が哀しくも美しい。「こうもり」は愉悦感が横溢。「フルート&ハープ」協奏曲は、豊麗な音で温かな音楽を奏でる彼の魅力が発揮され、吉野直子の表情豊かなソロと共に、雄弁な協奏を満喫できる。(柴田克彦)メモリー・オブ・ヴォルフガング・シュルツ/ヴォルフガング・シュルツ◎モーツァルト:協奏交響曲K297b ◎ヨハン・シュトラウスⅡ:オペレッタ「こうもり」より〜管楽アンサンブルのための ◎モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲ヴォルフガング・シュルツ(フルート)アンサンブル・ウィーン=ベルリンカメラータ・シュルツ吉野直子(フルート) 他 英国王立音楽院在学中の2010年、祖国リトアニアの人気番組「リトアニアズ・ゴット・タレント」で優勝し一躍スターとなったマルティナス。クラシック・アコーディオン奏者としての確かな技術の上に、枠にとらわれないクリエイティビティが花開く、注目の新星だ。収録作品は、ブラームスのハンガリー舞曲から、モリコーネ、レディー・ガガまでと幅広い。奏者の呼吸が直に音を揺るがすアコーディオンの特性を生かし、また独自の解釈に基づいて、楽曲に思い切ったアレンジが加えられている。高いエンターテイメント性を備えた意欲作。聴いていると、自然と気持ちが昂ぶる。(高坂はる香)チャルダッシュ〜ノスタルジック・アコーディオン/マルティナス◎ブラームス:ハンガリー舞曲第5番 ◎レディー・ガガ:テレフォン ◎J.S.バッハ:G線上のアリア ◎モーツァルト:トルコ行進曲 ◎モリコーネ:ラ・カリファ ◎モンティ:チャルダッシュ ◎ベートーヴェン:交響曲第7番第2楽章 ◎ヴィヴァルディ:「四季」より「冬」第1楽章 他マルティナス(アコーディオン) 「母」をテーマとする日本の歌ばかりを集めた、ありそうでなかったアルバム。大正・昭和の童謡や歌曲から、さだまさしまで、多様な母の歌が収められている。ほぼすべての作品は子から母への感謝や追慕だが、自身も母親である大ベテランの川本が歌うと、そこに母親としての視点が加わり、わが子へのいつくしみや郷愁など、幾重もの思いが重なる。母を思う子。その子を見つめる母。ドラマは俯瞰され、螺旋状の立体となって、限りない“やさしさ”を形づくる。その螺旋の最後に、「嫁ぐ娘への子もりうた」で母の現実的な思いが歌われるのは、ほとんど反則。思わず目頭が熱くなる。(宮本 明)お母さんのうた/川本伸子◎望郷の歌 ◎母の歌 ◎肩たたき ◎お母さんおぼえていますか ◎母をよぶうた ◎七つの子 ◎おうま ◎冬の日 ◎夕方のおかあさん ◎亡き母に ◎母私抄 ◎秋桜(コスモス) ◎無縁坂 ◎嫁ぐ娘への子もりうた 他川本伸子(うた)花岡千春(ピアノ)収録:2012年12月、相模湖交流センターコジマ録音ALCD-7177 ¥2940収録:2010年10月、ウィーン、2011年8月,2012年8月、草津音楽の森国際コンサートホール(ライヴ)カメラータ・トウキョウ CMCD-28289 ¥2940ユニバーサルミュージックUCCD-1387 ¥2940収録:2001年7月、川口リリアホールナミ・レコードWWCC-7734 ¥2100CDCDCDCD

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