eぶらあぼ 2013.10月号
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62★11月12日(火)・東京オペラシティコンサートホール ●発売中問ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp他公演 11/15(金)・王子ホール(完売)、11/17(日)・名古屋/三井住友海上しらかわホール(052-222-7117)都響スペシャル「第九」 ★12月24日(火)・東京文化会館、25日(水)・サントリーホール、26日(木)・東京芸術劇場 ●発売中問都響ガイド03-3822-0727年末は“インバルの集大成”で締めるエリアフ・インバル(指揮) 東京都交響楽団「第九」 今年も「第九」の公演をお知らせする時期になってきた。毎年数多くのベートーヴェン「第九」演奏会が行われるが、そのどれを選ぶか、いつも迷うという方も多いだろう。指揮者で選ぶか、あるいは歌手で選ぶか、あるいはオーケストラで選ぶか。そんな中で、そのすべてが揃っている公演として期待が高まるのがエリアフ・インバル指揮の東京都交響楽団による「第九」である。 マーラーの交響曲ツィクルスなどで圧倒的な熱演を展開してきたこのコンビ。マーラーには声楽付きの作品も多いのだが、その元祖とも言えるのがベートーヴェンの「第九」である。大作であればあるほど、インバルの熱気がオーケストラを奮い立たせる。そんな瞬間を数多く体験してきた人にとっては、この「第九」は注目すべき公演となるだろう。また、インバル未体験という方もこのチャンスを活かしてほしい。第4楽章で活躍するソリストには、澤畑恵美、竹本節子、福井敬、福島明也という日本を代表する歌手陣が揃った。合唱は二期会合唱団。オペラでの活躍も華々しく、その実力は折り紙付きだ。 インバルはプリンシパル・コンダクターとして都響を率いて来たが、その任期は今年度で終了する。音楽的な集大成の時期に入っている中での「第九」の公演には、インバルだけでなくオーケストラの側にも特別な感慨があるだろう。今年の「第九」の中でこのコンビは聞き逃したくない。文:片桐卓也エリアフ・インバルⒸ堀田力丸 METやコヴェントガーデンの舞台で大役を務め、2012年のザルツブルクでは、公私にわたるパートナーのサイモン・ラトルとの名コンビで《カルメン》役に挑み(イースター音楽祭はベルリン・フィル、夏の音楽祭はウィーン・フィルと)、オペラ・シーンにセンセーショナルを巻き起こしたマグダレーナ・コジェナ。チェコ出身のこのメゾソプラノは、バッハからドヴォルザーク、マーラーと、声楽曲の幅広いレパートリーにおいても、柔軟な解釈で美声を聴かせる歌手として知られており、CDリリースも多い。 そんな彼女が5年振りに来日してリサイタルを開く。今回のプログラムは17世紀前半に作曲されたマドリガーレ(世俗歌)たちで、2010年にドイツ・グラモフォンからリリースした古楽アンサンブル、プリヴァーテ・ムジケとの共演盤『Lettere Amorose(愛の手紙)』を再現する企画。モンテヴェルディやカッチー古楽と聴かせる“愛の手紙”マグダレーナ・コジェナ(メゾソプラノ)&プリヴァーテ・ムジケ(古楽アンサンブル)ニなどの作品を含むこれらは、ライナーノーツの彼女の言葉を借りるなら「当時のストリート・ミュージックともいえる素朴な唄で、クラシックのコアなファンでなくとも心掴まれるはず」とのこと。音楽監督のピエール・ピツルによるギターやヴィオラ・ダ・ガンバが率いる、同アンサンブルの雰囲気豊かな響きに乗せて、ちょっぴり物憂げな彼女の歌声が、400年前の恋心を現代に蘇らせてくれることだろう。文:東端哲也マグダレーナ・コジェナⒸEsther Hasse/DG
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