eぶらあぼ 2013.10月号
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51た気分を味わえるホールはありません。林:私はオペラ公演など大劇場で歌うことが多かったので比較をしてしまいますが、このホールでは最後列のお客様の顔まではっきりと見えますし、自分の声が届くという実感があったのでとても新鮮でした。三舩:小さめのホールですからピアノは響きすぎるかなと心配していたんです。ところが音が割れたり、回ってしまうこともありませんでした。いいホールだなと実感しましたね。林:私も最初は正直なところ、歌には難しいホールかもしれないなと思っていたんです。響き過ぎてしまうと言葉の明瞭さが失われますし、歌い手の意思が伝わらないですから。ところが歌ってみると、ここは「語れるホール」だなという実感が湧いてきたんですよ。原:弱音で歌うときの微妙な表現は苦労されましたか。林:まったく問題ありません。大きなホールですと後ろの席までの距離を測りながら音を飛ばさなくてはいけないですし、自分の身体のどこから声を飛ばすかも変わってくるんです。私の声がメゾソプラノだということも関係しているのか、空間にフィットするような感覚があり、本当に自然なままで歌えます。三舩:やはり300席という空間が演奏者にも気持ちいいのですよ。原:チェロの場合はいかがでしょうか。長谷川:特にバッハの「無伴奏チェロ組曲」などを弾くには素晴らしいと思いますし、楽器や弓のもっている本当の魅力を引き出してくれるホールだと言えるでしょうね。頑張り過ぎずに弾けるというのは、音楽にとっても演奏家にとっても理想的です。演奏者が楽に弾けていると音楽にもゆとりが生まれて、お客様もリラックスしながら聴けるんじゃないでしょうか。三舩:照明が柔らかいという印象も強いんですが、客席が落ち着いて見えるという印象はないですか? なんだかステージの上でこちらが癒されているような気分になります。原:その雰囲気は、このホールのオリジナル企画であるリクライニング・コンサートで、もっとも効果を上げていると思います。前例のないリクライニング・コンサート林:初めてあのコンサートで歌ったときは、たしかに独特の空気を感じました。原 浩之(はら・ひろゆき)Hakuju Hall支配人リクライニング・シート Ⓒ白井綾これまでのHakuju Hall主催公演リクライニング・コンサート・シリーズ[2003年〜現在]リラックスして音楽を聴けるHakuju Hallの看板シリーズ。Hakuju ギター・フェスタ [2006年〜現在]荘村清志と福田進一プロデュースによるHakuju Hall“夏の風物詩”。ワンダフル one アワー[2013年〜現在]約1時間にアーティストの魅力を凝縮した新シリーズ。アート×アート×アート[2013年4月] 第1回は「世界を席巻する藤倉大パラダイス」。作曲家・藤倉大の魅力を多角的に体験。フルート・ライヴ[2008年〜2012年 3月または4月、計5回]工藤重典が中心に開催されたフルートの祭典。代々木の森サロン・コンサート・シリーズ[2004年〜2006年 計12回]様々なジャンルのアーティストが繰り広げた豪華なステージ。主な出演者:IZZY(ヴォーカル) 米良美一(カウンターテナー) 古澤 巌(ヴァイオリン)小曽根 真(ピアノ) ファジル・サイ(ピアノ) 他ザ・ショー・フィドラー ニコニコ[2005年に毎月計12回開催]ケルト音楽のエッセンスを積み込んだエンタテインメント・ショー。出演:古澤 巌(ヴァイオリン) 他特別企画 西川浩幸(主演)「コントラバス」[2004年6月〜7月]プレガルディエンの「美しき水車小屋の娘」[2009年3月]白井光子&ハルムート・ヘル リート・デュオ・リサイタル 他[2010年9月]Hakuju Hall 特別座談会

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