eぶらあぼ 2013.9月号
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52【CD】『カンタール』ユニバーサルミュージックUCCG-1631 ¥2600 シモン・ボリバル交響楽団及び同ブラス・クインテットの首席トランペット奏者、フランシスコ(パーチョ)・フローレスが、10月にHakuju Hallでリサイタルを行う。このほど名門ドイツ・グラモフォンからソロCDもリリース。凄腕ソリストとしての活動がいよいよ本格化する。 ベネズエラ生まれの彼は、話題の音楽教育システム「エル・システマ」の出身だ。 「8歳から2年間トランペット奏者の父に習った後、エル・システマで教育を受けました。このシステムは若者に平等な教育を提供し、身分の差を取り去って健全な人間関係を築いてくれます」 2004〜06年にはフランスでエリック・オビエに学んだ。 「彼はモーリス・アンドレの直弟子。私は彼が継承するフランスの伝統を教わり、音楽的に大きな影響を受けました」 この間に05年フィリップ・ジョーンズ、06年モーリス・アンドレの各国際トランペット・コンクールで優勝(共にかの天才ルベン・シメオが2位)して「ソリストへのキャリアが開かれた」。 10月のリサイタルは、「ツィゴイネルワイゼン」やゲディケ「演奏会用練習曲」等の著名曲にラテンものを交えた多彩なプログラムだ。 「とてもダイナミックで、色彩の幅に富んだリサイタルになると思います。7種類のトランペットを吹きますので、それだけでも魅力的ではないでしょうか。演目も様々で、最後にはサプライズも用意していますよ」 ペドロ、バエズといったスペインやベネズエラの作品は特に注目される。 「中でも私に献呈されたS.バエズの『私のお兄さん』は、ベネズエラの民族音楽メレンゲのリズムを用いた素晴らしい作品。こうした素敵なラテンものは、さらなる普及を願って演奏しています」 1番の聴きどころは? 「やはり7種の楽器の吹き分け。色々な肌触りの音と音楽が登場しますので、新鮮な体験をして頂けます」 リサイタルの前には、渋谷区青少年吹奏楽団のトランペット・パート団員を教える公開レッスンもある。 「テクニック面と私の日々の練習法を、吹きながら教えたいと思います。日本の生徒はみな長時間練習しますが、トランペットは口の回りの筋肉をすごく使うので、それがいいとは限りません。私は毎日2時間集中して練習しました」 ちなみにCDは、オーケストラとのクラシック作品が中心。 「ヴァイオリン、オーボエ、ピアノ、歌、ギター…などすべてトランペットのための作品以外の曲を集めました。こちらは各楽曲に即した9種類の楽器を吹き分けていますので、音の幅広さやニュアンスの違いを楽しんでいただければと思います」 トランペットの魅力は何より「音色の多彩さ」と語るフローレス。素晴らしいテクニックに裏打ちされた色合いの妙をぜひ体感したい。取材・文:柴田克彦《エル・システマ フェスティバル 2013》参加公演フランシスコ・フローレス(トランペット) 大室晃子(ピアノ)★10月8日(火)17:00公開レッスン、19:00リサイタル 会場:Hakuju Hall●発売中問 Hakuju Hallチケットセンター 03-5478-8700 http://www.hakujuhall.jp多種多様な音色に浸る新鮮な体験フランシスコ・フローレス(トランペット)インタビュー このような体験は、そうそう出来るものではないだろう。100席にも満たない小さな、しかし素晴らしい響きを誇る空間で、世界的な奏者による秀演を、まるで宝石を慈しむかのように愉しめる贅沢な機会。今回は、ロシア出身で国際的に活躍するギタリスト、イリーナ・クリコヴァが紡ぐ美音に、ゆったりと身と心を浸そう。ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院を経て、モスクワやマーストリヒトでも学び、2008年の1年間でアルハンブラ国際(スペイン)をはじめ、4つの著名コンクールを制した逸親密な空間に響く美音に身と心を浸すイリーナ・クリコヴァ(ギター)材。欧米やアジアでのステージ活動の一方、ナクソス・レーベルなどから3枚のアルバムをリリース、「絶妙なバランスのとれた響き」と絶賛された。初来日公演でもある、今回のステージ。アルベニス「アストゥリアス(伝説)」やタレガ「アルハンブラの思い出」などギターのための佳品から、バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」など他の楽器の作品の編曲まで、多彩に、たっぷりと披露してくれる。文:笹田和人★9月21日(土)・松明堂音楽ホール ●発売中問松明堂音楽ホール04-2992-7667 http://shomeido.jp/ongakuマークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます)ⒸAyumi Kakamu
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