eぶらあぼ 2013.9月号
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49★10月6日(日)・所沢市民文化センターミューズアークホール(所沢市民文化センターミューズ04-2998-7777)、8日(火)・大阪/いずみホール(プロアルテムジケ03-3943-6677)、9日(水)・東京芸術劇場(同) ●発売中 作曲家・一柳慧が自らプロデュースし、横浜、東京、金沢を巡回する「Avanti! 室内アンサンブル」。Avanti!(アヴァンティ)はフィンランドを代表する指揮者サロネン、サラステなど、当時の若手演奏家たちによって1983年に結成された音楽家集団だ。優れた音楽性と技術を合わせもった演奏家たちが集まり、大編成のオーケストラから室内楽、またソロといった様々な形での演奏会を行っている。フィンランドと言えば現代音楽の最先端を行く国でもあり、彼らの演奏には世界中の注目が集まる。その音楽監督として、クラリネット奏者として活躍するカリ・クリーックに、今回の日本公演の聴きどころを聞いた。 「まず、2010年にフィンランドで共演することが出来た一柳慧さんの新作を世界初演できることが、とても楽しみです。ちょうど楽譜が一柳氏から送られて来たところなのですが、今回のメンバー全員で演奏したいという願い通りの美しい六重奏曲だったので、喜ばしく光栄に感じています。また、ノルドグレン(1944〜2008)は日本の伝統音楽を学び、日本の音楽の影響を強く受けています。東京のプログラムに加えたリンドベルイ(1958〜)は私の親しい友人で、Avanti!の結成時から一緒に音楽を作ってきました。そんな点から今回の日本公演の曲目を選びました」 現代の音楽だけでなく、モーツァルトの傑作「クラリネット五重奏曲」も横浜・金沢のプログラムの中に入っている。 「モーツァルトのクラリネット曲はどれも、すべてのクラリネット奏者にとって大切な作品です。モーツァルトはこの楽器をどう扱うべきか、非常に良く心得ていました。これまでに演奏したモーツァルトの作品は私の心にくっきりと刻まれています。シンプルさの極みの中に彼の天才が現れる音楽を演奏するためには、毎回、曲を深く掘り下げて、丹念に練習する必要があります。私にとって、モーツァルトの音楽は美しいばかりでなく、ドラマティックです。すべての曲に込められたドラマが私に訴えかけてきます」 とモーツァルトへの抱負をクリーックは語る。日本についての印象もきいてみた。 「日本は自分にとって最も訪問したい国です。東京オペラシティ文化財団の主催した《コンポージアム2004》の時にはNHK交響楽団と共演しました。日本の文化に接すると様々な驚きを感じます。日本の現代曲の中にも、アジア古来の響きを感じることが出来るように、現代的な音楽言語と日本古来の音の響きはうまく調和しあうように思います」 フィンランドと日本の音楽的な出会いに期待しよう。取材・文:片桐卓也★10月5日(土)・神奈川県民ホール(小)(チケットかながわ045-662-8866)、6日(日)・トーキョーワンダーサイト(03-5766-3732)、9日(水)・金沢21世紀美術館(076-220-2811) ●発売中フィンランドと日本の音楽的な出会いAvanti!(室内アンサンブル)インタビューマークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます) ベルリン・フィルとウィーン・フィルの合体…この言葉にはクラシック・ファンにとって夢の響きがある。その夢を木管楽器で実現したのがアンサンブル・ウィーン=ベルリン、そして金管楽器で“世界2強”がタッグを組んだ夢のブラスブラス・クインテット・ウィーン=ベルリン果たしたのが「ブラス・クインテット・ウィーン=ベルリン」だ。メンバーは、ベルリン・フィルから花形トランペッター2名と低音のかなめのテューバ奏者、ウィーン・フィルからは伝統の響きを支えるホルンとトロンボーンの名手2人が垣根を越えて集結。トランペットのタルケヴィ、トロンボーンのキューブルベックという両楽団の顔たる首席奏者も居並ぶ豪華版だ。2012年2月の来日公演では、壮麗にして柔らかな、まさに両者の美点が融合したサウンドと金管を超えた極上のアンサンブルを披露したが、前回急病で不参加のタルケヴィ(超名手!)が戻った今年は、また新たな驚きが待つ。曲は、バッハ、ランナーの“各地元もの”に、五重奏曲の定番エヴァルド、さらにはプーランク、フォーレ、ピアソラなど実に多彩。秋はドリーム・サウンドで陶酔のひとときを!文:柴田克彦ⒸMarco Borggreve
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