eぶらあぼ 2013.9月号
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41 今年、開場から250周年を迎えるボローニャ歌劇場では、7月にマルティーニ神父のインテルメッゾ《音楽の先生》と《ドン・キホーテ》が上演され、イタリアで活躍する日本人指揮者、吉田裕史がタクトを取り大きな話題をよんだ。この2作品が10月に日本で同一のキャストと管弦楽団で上演される。 モーツァルトの対位法の教師として知られるマルティーニ神父はボローニャ出身で音楽史家、音楽理論家、そして宗教音楽の作曲家として多くの功績を残した。この2つの作品は1746年の作曲、台本は神父自身だとされている。《音楽の先生》は若いオペラ歌手とその先生のやり取りを当時の音楽界への風刺を込めて描く。《ドン・キホーテ》は本当は臆病者で、アマゾンの女戦士や魔女に扮した女主人公ネリーナにからかわれるというパロディもの。前者が会話を楽しむ作品ならば、後者はバロック・オペラらしい音楽が魅力だ。単純で楽しい曲の“モーツァルトの師匠”のオペラがやってくるボローニャ歌劇場 マルティーニ《音楽の先生》《ドン・キホーテ》ようだが良く聴くと細部が凝っており、様々な知識を織り込んだ達人の手遊び、という趣だ。今回の日本公演に出演するテノールのアルド・カプートは、2年前にこのオペラが(その時は古楽オケで)上演された時のキャストだが、澄んだ美声に愛嬌のある演技に定評がある。アントネッラ・コライアンニは、まだ若手ながらヴァレンティーニ=テラーニを思わせる容姿と声で、技巧的アリアも楽々歌い将来が期待されるメゾソプラノだ。来日公演が実に楽しみである。文・井内美香★10月19日(土)、20日(日)・横浜みなとみらいホール(小)、23日(水)・京都/清水寺※ ●発売中問キョードー横浜045-671-9911※10/23公演は抽選による招待制。詳細は下記ウェブサイトにアップされる予定。 http://j-opera.jp かつて「ピアノの貴公子」と呼ばれ来日を重ねたピアニストのペーター・ヤブロンスキーも、40代を迎えた。今や祖国スウェーデンでは音楽祭の芸術監督をつとめ、指揮にも取り組むなど、幅広い活動を行っている。「20代の頃の自分のピアノはおもしろかったかもしれないけれど、真の芸術だったかはわからない。今、自分の音楽は驚くほど変わった。あの頃より今がずっといい。そしてきっとこの先はもっとよくなる」。昨年3年ぶりに来日した彼はこんなことを語っていた。 11月の来日公演では、充実した音楽活動の中で培われた感性で、興味深いプログラムを用意する。前半は北欧にまつわる音楽が中心。冒頭にはバッハがスウェーデンに旅立つ兄のために書いた、カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちにあたって」BWV992。そしてグリーグの「抒情小品集」からOp.62-5、62-4、Op.65-1、「ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード」貴公子の円熟した感性を聴くペーター・ヤブロンスキー(ピアノ)の順に続ける。後半の始まりも、演奏機会の少ないラフマニノフ「断片」に、前奏曲や絵画的練習曲から数曲を並べるという、趣向を凝らしたもの。表情の異なる小品を丁寧に組み合わせ、ひとつの空気感を創りあげる。そして最後に据えるのはプロコフィエフのソナタ第7番。少年時代、天才ジャズドラマーとしても活躍した独特のリズム感、クリアなタッチが冴える得意のレパートリーだ。 ヤブロンスキーの良さが発揮されるとともに、実際に聴くとどんな物語が展開するのか興味をそそられるプログラム。是非、会場で味わいたい。文:高坂はる香★11月1日(金)・大阪/ザ・フェニックスホール(プロアルテムジケ03-3943-6677)、4日(月・祝)・名古屋/宗次ホール(宗次ホール052-265-1718)、7日(木)・東京オペラシティコンサートホール(プロアルテムジケ03-3943-6677) ●発売中http://www.proarte.co.jp吉田裕史ⒸB.Ealovegaアントネッラ・コライアンニアルド・カプートマークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます)
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