eぶらあぼ 2013.9月号
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38 コルネットとリコーダーの名手・濱田芳通が率いる古楽集団「アントネッロ」によるオペラ・プロジェクト「オペラ・フレスカ」がスタート。その第1弾として、17世紀イタリアの巨人モンテヴェルディの傑作《ポッペアの戴冠》を取り上げる。ちなみに第2弾は《オルフェオ》(12/4)、第3弾は《ウリッセの帰還》(2014/3/21)。濱田の指揮のもと、カウンターテナーの彌勒忠史が演出を担当。実力派ソリスト陣と共に、わが国のバロック・オペラ上演史に、新たな1ページを記す。 モンテヴェルディの絶筆とも伝わる《ポッペアの戴冠》は、ローマ皇帝ネ巨匠モンテヴェルディの3大オペラに挑む!オペラ・フレスカ公演 《ポッペアの戴冠》ロと愛人ポッペアを巡る愛憎劇で、セリア(悲劇)でありながら、ブッファ(喜劇)の要素も併せ持つ傑作。1642年に初演されたが、1920年に再発見されるまで、数百年にわたって眠り続けていた。決して“綺麗ごと”では済まさない、人間の真実に斬り込む音楽表現は、現代に生きる我々にとっても鮮烈。一方で、声楽とバス譜しか伝わっていないため、上演の良し悪しは、そこに携る者のセンスが大きく作用する。 瑞々しい感性によって、初期バロック作品へ新たな命を吹き込み、洗練されたサウンドを生み出してきた濱田。そして、数々のプロデュース公演でも大活躍の、しなやかな感性を持つ彌勒。そこへ和泉万里子(ポッペア)や澤村翔子(オッターヴィア&フォルトゥーナ)、酒井崇(オットーネ)、そして歌手としても参加する彌勒(ネローネ)ら古楽とオペラの両方に精通するキャスト、アントネッロの管弦楽による高い表現力が一体に。「初演時もかくや」という衝撃体験が、待っている。文:寺西 肇★9月3日(火)・川口総合文化センターリリア音楽ホール ●発売中問 リリア・チケットセンター048-254-9900 http://www.anthonello.com濱田芳通和泉万里子彌勒忠史澤村翔子酒井 崇 現音楽監督スダーンに続く2014年からの次期人事に注目が集まっていた東京交響楽団だが、昨年秋のジョナサン・ノットの就任発表には筆者もあっとおどろき、「こりゃ面白くなるぞ」とわくわく感でいっぱいになった。そのお披露目公演が、いよいよ秋にせまってきた。 ノットはイギリス生まれで、フランスの現代音楽専門集団アンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督などを務めた後、現在は独バンベルク交響楽団の首席指揮者の任にある。モダンや現代ものも振れるし、オーケストラのレパートリーの核ともいうべきドイツの交響作品も本場のお墨付き。バンベルク響は中欧独特のやや渋みの入ったバランスのよい音楽をする。スダーンが作り上げた東響サウンドと毛色が似ており、この点も心憎い。2011年の初共演で東響がラブコールを送ったようだが、ノットは50代になったばかりで、まだまだ伸びていく可“未来志向型”指揮者、いよいよ登場!ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団能性と野心を秘めているから、思いがけない化学反応も期待できる。 さて、その10月定期はR.シュトラウス・プログラムとなっている。「4つの最後の歌」を歌うクリスティーネ・ブリューワーは、オペラから歌曲まで幅広いレパートリーを持つ欧米圏ではよく知られた名ソプラノ。ノットの話題性の陰でさりげない配役だが、実はここもポイントだ。後半はアルプスの登山の様子を夜明けから日没まで活写した「アルプス交響曲」。この曲はオーケストラの各パートに見せ場がある上に、合奏部では指揮者のバランス感覚も問われる。未来志向型の指揮者とオーケストラ、そのダイナミックな最初の一歩に注目だ。文:江藤光紀第614回定期演奏会 ★10月13日(日)・サントリーホール ●発売中問 TOKYO SYMPHONYチケットセンター044-520-1511 http://tso.jp第80回新潟定期演奏会 ★10/14(月・祝)・新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあ問 りゅーとぴあ025-224-5521 http://www.ryutopia.or.jpジョナサン・ノットⒸK.Miuraクリスティーネ・ブリューワー東京交響楽団

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