New Release Selection

【CD】ラルゴ〜サクソフォンとオルガンによるバロック音楽作品集〜/長瀬正典&椎名雄一郎

 19世紀に生まれたサクソフォンと、数千年に及ぶ長い歴史を持つオルガン。関係性は薄く思える2つの楽器を共に奏すると、これほどの滋味を生むとは! 長瀬正典は東京藝大や静岡大大学院に学び、国際的に活躍するサクソフォニスト。端正なバッハ演奏で注目を浴びるオルガニストの椎名雄一郎とは6年前から共演、バッハのアルバムも発表してい…

【CD】ベートーヴェン・アルバム/高田泰治

 関西とドイツで活動する高田泰治による、スイスの名工J.G.グレーバー製作のフォルテピアノ(1807年頃製)を使用した録音。「膝で操作するペダルを持つ最後期のモデル」で、貴重なオリジナル楽器だという。1800年前後に書かれたベートーヴェンの二つのソナタ「悲愴」「月光」とバガテルを収録。絶妙な演奏技術により、楽器の音の伸…

【CD】悲しみの足跡の中に/マリアン・コンソート

 次代を担うスコットランドのア・カペラ・アンサンブル、マリアン・コンソート。9枚目のアルバムである本作、古くはパレストリーナから現代のガブリエル・ジャクソンに至る約400年という歴史における詩篇第51篇(『ミゼレーレ』)、『スターバト・マーテル』の各歌詞による音楽を辿る旅、とでも言えようか(CDタイトルの『悲しみの足跡…

【CD】Vocalise 〜ヴァイオリンで紡ぐ詩〜 /椙山久美&上田晴子

 ウィーンで名教師フランツ・サモヒルに師事、現在は故郷の浜松を拠点に活躍するヴァイオリニスト椙山久美が、気心知れた名ピアニスト上田晴子と共に、全18曲、多彩な国々の名旋律を聴かせるアルバム。芯の強い音で曖昧さなしに歌いこむ椙山のヴァイオリンと、精妙なハーモニーが美しい上田のピアノが相乗効果を生み、スラヴの哀愁からラテン…

【SACD】マーラー:交響曲第10番、ブルックナー:交響曲第9番/ノット&東響

 ノット&東響の第5作。未完の遺作を組み合わせた公演のライヴ録音である。マーラーの10番は、精妙な表情と緊張感を終始保ちながら進行。一筆書きの如きトーンで、じんわりとした感銘を与える。ブルックナーの9番は、引き締まった造型と精緻なバランスによって生み出された、驚くほど自然な演奏。第1楽章の絶妙な呼吸、第2楽章の峻烈な表…

【SACD】ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 他/横山幸雄

 今年1月のライヴ録音。公演では前半にショパンの協奏曲2曲が演奏されており、その後という流れの効果もあってか、下野竜也指揮新日本フィルとのアンサンブルは、自由な勢いの中でぴたりと重なっている。横山らしい精密かつクリアな音で築き上げられた「パガニーニの主題による狂詩曲」と、濃厚な歌で存分に聴かせるピアノ協奏曲第2番。奇を…

【CD】ドヴォルザーク:チェロ協奏曲、アザラシヴィリ:無言歌/遠藤真理

 NHK-FMのクラシック音楽番組で長くパーソナリティを務めている遠藤真理。昨年4月より読響ソロ・チェロ奏者に就任し、その3ヵ月後、小林研一郎の指揮で“同僚”と共演したドヴォルザークの協奏曲で、国内トップクラスのチェリストとしての実力を存分に示した。安定した高い技巧と丁寧な造形は遠藤ならではで、しなやかな歌心からパワフ…

【CD】ショパンの愛弟子 若き天才作曲家 カール・フィルチュの世界 2/萩原千代

 ショパンの愛弟子であり、15歳を目前に夭逝したカール・フィルチュの作品を蘇演する萩原千代のアルバム第2弾。音楽学者ガエフスキーが発見し、2006年に発表された作品が中心。師のショパンやリストによる修正、そして発見者の補筆が加えられた作品も所収。ショパンの「革命のエチュード」のような激しい曲想の影響を受けた「英雄的練習…

【CD】王のためのコンセール〜フルート・バロック 名曲集Ⅱ〜/工藤重典

 日本を代表するフルートの名手、工藤重典の最新録音は、パリで活躍するアメリカ出身の鍵盤楽器奏者、シーゲルとの共演で、フレンチ・バロックを核に。ルイ14世への御前演奏に供された「コンセール」や、オペラ作品から抜粋された組曲での、しっかりした様式感に裏付けされた折り目正しい快演は、工藤ならでは。特に、舞曲のしなやかさには、…

【CD】ピアノ・トランスフィギュレーション/高橋アキ

 高橋アキの新譜は、彼女と親交のあった20世紀の巨匠作曲家たちのピアノ曲集。尹伊桑、松平頼則、松平頼暁、湯浅譲二、M.フェルドマン、そして20世紀のポーランドでカリスマ的存在であったというT.シコルスキの作品である。高橋に捧げられた作品、高橋が初演を行った作品、創作過程に高橋が深く関わった作品が並ぶ。松平頼則の3分弱の…