New Release Selection

CD『西村朗 四神/インデアミューレ+いずみシンフォニエッタ大阪』

 「四神」は音域の違う4種のオーボエ属楽器を楽章ごとに吹き分けるという、奇想天外のアイディアが聴かれる。四季と結びついた禍々しい神獣を、ヴェテランのオーボエ奏者トーマス・インデアミューレがグリッサンドや微分音程も駆使して描き分ける。「沈黙の秋」では、どこか物悲しい表情を湛えたオーボエがピアノ(岡田博美)と対峙しながら、…

【CD】ファゴット・コン・フォーコ/岡崎耕治

 2009年までN響の首席奏者を務めたファゴットの名手のデビュー・アルバム(録音はN響在籍中の1996年)のリマスタリング発売。同楽器の重要作品を揃えた選曲と高度な演奏が相まってロングセラーを続けているディスクが、鮮やかな音質で蘇った。今聴いて感嘆させられるのは、柔らかな音色となめらかで自然なフレージング。シューマンの…

CD『パッサカリア/三上亮&金子鈴太郎』

 国内オーケストラのコンサートマスターや首席奏者を歴任し、現在はソロに室内楽にと柔軟な活動を展開する三上亮と金子鈴太郎が、意欲的なデュオアルバムを作った。CD冒頭、しなやかにして雄渾なパッサカリアから惹きこまれる。彼らのセンスとテクニックは相当なもので、ロッシーニとモーツァルトのユニークな編曲作等における“冷静な超絶技…

【CD】インテルメッツォ ―ピアノ名曲アルバム― /小林有沙

 「手に取った方にホッとしていただきたい」という想いが込められた本盤には、ロマン派の作曲家を中心に、メロディの美しい、聴き手の心に寄り添うような小品が集められている。“小品”と一口にいっても、歌心に溢れた演奏、色彩に富んだ音色、自然な音楽運びを行う構築性、それらを支える確かな技術がなければその魅力は全く伝わらない。その…

【CD】戦没学生のメッセージ 〜戦争に散った若き音楽学徒たち

 東京藝大が創立130年記念事業として行った戦没学生の作品の蘇演・初演の記録。収録された4名は1921〜23年の生まれ、終戦直前後に病死・事故死・戦死・自決している。才能は未だ蕾で開花しきっているわけではないが、各人各様の個性がある。ピアニストでもあった葛原守は清々しい抒情を歌い、鬼頭恭一は古典的なセンスをわが物にして…

【CD】テリュール/徳永真一郎

 ギター音楽愛好家の間では既にその逸材ぶりが轟いている徳永真一郎。福田進一プロデュースによる待望のデビューアルバムが登場。その凝ったプログラミングからしてありきたりなアルバムとは違った気概を感じさせるが、何より演奏が秀逸の極み。1曲目のR.S.デ・ラ・マーサの「サパテアード」での個々の音の粒立ちの見事さと歌い回しの絶妙…

【SACD】ディヴィーナ/藤田美奈子

 ミラノやヴェローナで研鑽を積み、在学中に数々のコンクールにて入賞。欧州オペラ・デビューの際には、存在感ある演技力に加えてテクニックと美声を絶賛されたソプラノのデビュー盤。高音に秀で「イタリアの色」とも云うべき爽やかさに溢れる声質を強みに、ベッリーニ《夢遊病の女》の華々しいカヴァレッタやヴェルディ《椿姫》〈花から花へ〉…

【CD】悲愴・月光・熱情〜リサイタル・ピース第2集/反田恭平

 徒らに奇を衒うことはせず、ただし音楽的には果敢に大胆に。反田恭平の弾くベートーヴェンの“3大ソナタ”は、現代人の胸に熱く響く一枚だ。遠くの地鳴りのようなトレモロが印象的な1楽章から、抑制美の効いた2楽章への移行がホロリとさせる「悲愴」、モダン・ピアノの音の伸びの良さと残響を生かし切った「月光」、冒頭の三音のモティーフ…

【CD】R.シュトラウス:「ドン・ファン」「死と変容」他 /準・メルクル&トーンキュンストラー管

 音楽監督・佐渡裕との共演、自主レーベルの設立を通じてトーンキュンストラー管の魅力は日本にもダイレクトに伝わるようになった。最新盤では準・メルクルがお得意のR.シュトラウスを披露。パワフルなオケを切れ味よくドライブしながら、透明感あふれる輝かしい音楽を導いている。交響詩「ドン・ファン」「死と変容」では大管弦楽が一体とな…

【CD】モーツァルト:交響曲第40番、ピアノ協奏曲第18番/沼尻竜典&トウキョウ・ミタカ・フィル

 沼尻&トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア(沼尻が1995年に結成したトウキョウ・モーツァルトプレーヤーズから改称)の初のモーツァルト録音。2曲ともノーマルなアプローチによる充実した演奏だ。交響曲第40番は、引き締まった構築で密度の濃い音楽が展開。統一された表現の中で各フレーズがしなやかに息づき、曲の魅力を衒いなく伝…