New Release Selection

【CD】ポンセ作品集 カンシオン・メヒカーナ/福田進一

 マヌエル・ポンセ没後70年を記念してのアルバム。作風の変遷を体感することのできる目配りに富んだプログラミングだが、演奏もまた磐石の一語。「組曲イ短調」サラバンドでの板についた歌い口、「3つのメキシコ民謡」で聴かせる細かい走句にまで正確で神経の通った奏楽、「ソナタ第3番」での明晰な造形と力強さ…。セゴビアにあやかってヘ…

【SACD】ストラヴィンスキー:「春の祭典」「火の鳥」/小林研一郎&ロンドン・フィル

 コバケン&ロンドン・フィルのロシア音楽シリーズの最新盤。今や稀少なスタジオ録音と相まって、隅々まで丁寧に描かれた悠揚迫らぬ演奏が展開されている。「春の祭典」は、各パートの動きを明確に表出しながら、雄弁かつエネルギッシュに進行。鮮明な録音が音楽を強化し、中でも打楽器の迫力は凄まじい。「火の鳥」も緻密かつ精妙な造作が印象…

【CD】ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」 他/バッティストーニ&東京フィル

 バッティストーニと東京フィルの「BEYOND THE STANDARD」。定番名曲と日本人作曲家の作品をカップリングし、セッション録音で綿密に仕上げていく本シリーズ第1弾の当盤は「新世界より」と伊福部昭。セッションならではの高音質なのが嬉しいが、演奏もまた優秀。基本的にストレートな解釈ながらも細部の工夫や仕上げが見事…

【CD】山根弥生子(ピアノ) ショパンを弾く Vol.3

 精力的にアルバムを発表し続ける山根弥生子。ショパン作品集の第3弾は夜想曲集であり、最後に幻想曲op.49も収めた。ショパンの21曲の夜想曲のうち11曲を選んでいるが、山根は初期のものから晩年の傑作までをバランスよく選曲。第1、2番はパッセージの一音一音にも意味を感じさせられる、甘美なカンタービレ。第4番は中間部の激し…

【CD】わたしの好きな歌/高橋薫子

 全篇にわたって、歌と言葉に対する愛情が迸る。国立音大からイタリアに学び、藤原歌劇団をはじめオペラの檜舞台で秀演を重ねている名ソプラノ、高橋薫子。そんな彼女が「好きな曲」だけを選りすぐった。「海」「春」といった日本語の言葉ひとつにも宿る命。かたや、ベル・カントで歌いこなされるイタリア語の名アリア、流麗に表現されたフラン…

【SACD】ストラヴィンスキー:春の祭典、シェーンベルク:浄められた夜/ノット&東響

 ノット&東響の4作目のCD。20世紀初頭に新時代を拓いた“動と静”の名作を並べ、2つの道筋を対比させた意義深い1枚だ。「春の祭典」は、全体のマッシヴな音像と細部のクリアな動きを両立させた、鮮烈かつ豊潤な快演。しなやかに躍動するリズムが光り、第2部後半の迫真性も耳を奪う。「浄められた夜」は、ダブつきのない清冽なアンサン…

【SACD】ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス/鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパン

 まさに「満を持して」の感がある。鈴木雅明&BCJによる、ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」。“巨大な作品”との先入観を覆す、風通しが良く、繊細な仕上がりだ。かたや、横への流れが抜群で、この作品独特の楽想が交錯しながら色調を変え、畳み掛けてゆく興奮も、ダイレクトに伝わってくる。そして、声楽と器楽が共に音楽的な理想に向…

【CD】[横笛]赤尾三千子の世界 乙女と若武者のためのレクイエム 新版 水炎伝説―義経の笛

 赤尾三千子は70年代から多くの作曲家とコラボしつつ横笛の現代的な可能性を探ってきた。新版「水炎伝説」は石井眞木のオリジナル作品に松下功作品などを加えて編みなおしたもの。西洋楽器群が織りなす緻密なテクスチュアに、息の強度や揺らぎで一人対峙する姿がまぶしい。古寺に伝わる義経の龍笛「薄墨」は8世紀以上の時を超えて命を吹き込…

【SACD】ハイドン:交響曲集 Vol.3/飯森範親&日本センチュリー響

 飯森範親&日本センチュリー響によるハイドン第3弾。交響曲第99番はハイドンが弟子のベートーヴェンに筆写させた自信作。傑作に相応しい充実した演奏で、トゥッティのエネルギーの爆発は目を見張るばかりだ。序奏の半音階進行が全曲の各所に現れる緻密な構成も解りやすく聴かせる。緩徐楽章の木管の絡みも美しく、終楽章の対位法楽句やウィ…

【CD】遠望 ヘルダリーンの詩による歌曲/長島剛子&梅本実

 世紀末から20世紀の歌曲をテーマにリサイタルを重ね、近年ディスクの発表も頻繁に行う長島剛子・梅本実リートデュオ。今回のディスクはヘーゲルやベートーヴェンと同時代の詩人フリードリヒ・ヘルダリーン(1770〜1843)の詩に付曲された歌曲を集めたもので、深い精神性に満ちたこれらの作品で、長島は色彩豊かに変化する美声を駆使…