エンリコ・オノフリ (バロック・ヴァイオリン)

まさにバロック音楽の“饗宴”


 彼がステージに登場してヴァイオリンを構えると何かが起こる…。まるでミステリー映画のようなキャッチフレーズを献呈したくなるほど、コンサートでは新鮮な(ときに斬新な)演奏を聴かせてくれるのがエンリコ・オノフリだ。古楽のリスナーにとってはすでにおなじみの名前だろうが、彼のバロック・ヴァイオリン演奏は当然ながら豊かで深い知識に支えられつつ、「バロック音楽ってロックみたいだ」と思う人がいてもおかしくないほどの生き生きとしたオーラを振りまく。
 毎年のように行われている来日公演も1回1回が驚きに満ちており、古楽ビギナーにこそ聴いて欲しい魅力が満載。“オノフリ伝説の地”となりつつある上野学園石橋メモリアルホールでのコンサートは、ヴィヴァルディ、テレマン、F.クープラン、コレッリ、J.S.バッハほか“バロック・オールスターズ”的な作曲家が並ぶ(だからこそ、古楽ビギナーにもおすすめ)。優雅なF.クープランで幕を開けるコンサートは、ヴィヴァルディの「ラ・フォリア」やコレッリのソナタ(作品5よりの2曲)、壮絶な演奏になりそうなオノフリ編曲によるJ.S.バッハの有名な「トッカータとフーガ ニ短調」(ヴァイオリン・ソロ版)などが続く。ルクレールの没後250年、C.P.E.バッハの生誕300年も忘れておらず、まさにベスト・ラインナップなのだ。共演は杉田せつ子(バロック・ヴァイオリン)と桒形亜樹子(チェンバロ/オルガン)。
 4月23日にはコレッリのソナタ集のCD(Anchor Records)もリリース。春から初夏の“オノフリ劇場”が開幕だ。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2014年5月号から)

★6月7日(土)・上野学園石橋メモリアルホール
問:チパンゴ・コンソート080-3087-1805
http://homepage3.nifty.com/enricoonofri

【CD】
『アルカンジェロ・コレッリ:ヴァイオリンと、
ヴィオローネまたはチェンバロのためのソナタop.5 Vol.1』

Anchor Records UZCL-1027
¥2667+税