澤和樹(ヴァイオリン)&蓼沼恵美子(ピアノ)デュオ 〜シューベルト、シューマン、ブラームスをうたう〜

音楽は“うた”に始まり“うた”に終わる


 確かにロマン派は“うた”の音楽だ。活発な演奏活動と信頼の厚い教授活動(現・東京芸大副学長)を両立してきた名ヴァイオリン奏者・澤和樹が、1976年からコンビを組むピアノの蓼沼恵美子と共に、シューベルト、シューマン、ブラームスのヴァイオリンまたはヴィオラ&ピアノ曲のシリーズ(全4回)を行う。これは、シューベルトのソナチネや「アルペジオーネ・ソナタ」、シューマンのヴァイオリン・ソナタ2曲、ブラームスの両楽器のソナタ5曲など、主要な名作をまとめて聴ける得難い機会だ。そして「今回は、ロマン派の巨人たちが、リートの分野で偉大な功績を残した点に改めて着眼してみたい」と澤は語る。さらには「歌曲王シューベルトは言うに及ばず、ブラームスの自作歌曲とヴァイオリン・ソナタとの関連は明らかだし、シューマンの緩徐楽章などでは、ドイツ語の歌詞が聴こえて、物語が思い浮かぶ」とも。ここに視点を置けば、シリーズを聴く妙味はいっそう深まる。内外で評価も高いベテラン・デュオならではの“うた”に、じっくりと耳を傾けたい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2014年3月号から)

Vol.1 3月15日(土)、Vol.2 6月8日(日)、Vol.3 12月14日(日)、Vol.4 2015年3月15日(日) 
会場:Hakuju Hall 
問:アスペン03-5467-0081 
http://www.aspen.jp