ダン・エッティンガー(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団

豪快なロシア・プログラムを一気に満喫


 2010年から東京フィルの常任指揮者を務めるダン・エッティンガーが、この3月にオーチャード、サントリー、東京オペラシティと東京フィルの3大定期を“ぶち抜き枠”のようにして、ラフマニノフのピアノ協奏曲(第2番・第3番)+チャイコフスキーの後期交響曲(第4番〜第6番)をドッキングさせた豪快なロシア・プログラムを組んでいる。久々の“エッティンガー節”がたっぷりと楽しめそうだ。エッティンガーの持ち味といえば、オーケストラを分厚く鳴らし、息の長い歌を導いていくところで、これがオペラの分野での彼の評価を高くしているのではないだろうか。
 チャイコフスキーの交響曲については、すでに両者は第4番・第5番のライヴ盤をリリースしている。5番は常任指揮者に就任する前の06年のものだから、これを聴いて公演に臨めば両者の現在のありようが、よりリアルタイムに感じられることだろう。
 ラフマニノフでソリストを務めるのはグルジア出身のアレクサンダー・コルサンティア。シドニー国際コンクール、ルビンシュタイン国際コンクールなどで入賞歴を持つ、すでに中堅といっていいピアニストで、テルアビブでも活躍しているようだが、これまでなぜか来日の機会がなかった。未だ知られざるアーティストや作曲家を紹介してくれるあたりも、エッティンガー公演の楽しみである。
 濃密な歌のつまったエッティンガー&東京フィル公演は3月2日から5日まで。“全公演制覇”という楽しみ方も当然、アリだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2014年3月号から)

第844回オーチャード定期演奏会 ★3月2日(日)・Bunkamuraオーチャードホール 
第845回サントリー定期シリーズ ★3月3日(月)・サントリーホール Lコード:37845
第84回東京オペラシティ定期シリーズ ★3月5日(水)・東京オペラシティコンサートホール Lコード:37884
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522 
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