寺神戸亮が名手たちとともに贈る バッハ協奏曲 名作選

バッハとともに至福の時間を


 “名手と名曲の出逢い”ほど、音楽ファンにとって幸せな瞬間はあるまい。バロックヴァイオリンの先駆者として、日本のみならず、ヨーロッパの古楽シーンをリードし続けてきた寺神戸亮。『バッハ協奏曲 名作選』は、寺神戸が古楽界の一線で国際的に活躍する第一人者たちと共に贈る、そんな至福の時間だ。
 東京フィルのコンサートマスターを経て、古楽の世界へと身を投じた寺神戸。名匠シギスヴァルト・クイケンの薫陶を受け、片腕として彼のアンサンブル「ラ・プティット・バンド」を率いたほか、レザール・フロリサンやバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)など一流楽団のコンマスを歴任している寺神戸。近年は指揮者として、バロック・オペラやモーツァルトの作品に取り組むほか、“幻”の肩掛けチェロ「ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ」の蘇演に取り組むなど、新たな境地への挑戦を続けている。
 今回は、2つの「ヴァイオリン協奏曲BWV1041&1042」で、しなやかな美音を披露。そして、BCJなどで活躍するフルートの菅きよみと、韓国出身でオランダを拠点に精力的に活動するチェンバロのチョー・ソンヨンがソリストに加わり、「フルート、ヴァイオリンとチェンバロのための協奏曲BWV1044」と「ブランデンブルク協奏曲第5番BWV1050」を取り上げる。特に、鍵盤作品から編曲された前者は「自作品の編曲者としてのバッハの、最も熟達した業績のひとつ」と評価されつつも、実演にはなかなか触れられない作品だけに、貴重な機会と言えよう。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2014年1月号から)

★2014年1月23日(木)・紀尾井ホール
問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061
http://www.kioi-hall.or.jp