第5回 仙台国際音楽コンクール優勝記念演奏会 リチャード・リン(ヴァイオリン) ソヌ・イェゴン(ピアノ)

世界の舞台へと羽ばたく才能

 “楽都”仙台で3年に1度開催される、仙台国際音楽コンクール。出場者のレベルは回を重ねるごとに高くなり、また入賞者たちのその後の飛躍も目立つことから、最近ますます注目を集めている。そして今年5〜6月に開催された第5回で、再び新たなスターが誕生した。12月には、仙台で優勝者による記念演奏会が行われる。
 ヴァイオリン部門を制したリチャード・リンは、アメリカ生まれ台湾育ちの22歳。カーティス音楽院を経て、この秋からジュリアード音楽院修士課程で学ぶ。生き生きとした音色、情感豊かで訴えかけるような音楽性を持つ。ベートーヴェンのソナタ第1番、グリーグのソナタ第3番、サラサーテの小品で、高い表現力を生かした多様な顔を見せてくれるだろう。
 ピアノ部門優勝、韓国のソヌ・イェゴンもまたジュリアード音楽院で研鑽を積み、現在マネス音楽院で学ぶ24歳。コンクール入賞歴だけではなく既に演奏経験も豊富な彼は、グレインジャーの「R.シュトラウスの《ばらの騎士》終幕から愛の二重唱による散歩」、ベートーヴェンのソナタ第30番、ラヴェル「ラ・ヴァルス」、シューベルトからはリスト編曲の歌曲と「さすらい人幻想曲」という、聴きごたえあるプログラムを用意。優しげな外見に似合って力強くもとても丁寧なピアノを弾く彼の魅力が冴える内容だ。
 記念演奏会に合わせて、コンクールの抜粋が収録されたライブ録音CDもリリースされる予定だ。この機会に、仙台から羽ばたく精鋭の実力を確かめておこう!
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2013年12月号から)

リチャード・リン ★12月6日(金) ソヌ・イェゴン ★12月14日(土)
会場:日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)
問 仙台市市民文化事業団コンクール推進課022-727-1872
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