クシシュトフ・ウルバンスキ(指揮) 東京交響楽団

俊英が名作に新たな光を当てる

 気鋭の指揮者クシシュトフ・ウルバンスキがいよいよ、首席客演指揮者就任後初めて東京交響楽団の指揮台に立つ。
 ウルバンスキは1982年ポーランド生まれの新星。東響とのコンビでこれまでにも鮮烈な好演を聴かせてくれている。楽団員からの強い支持にこたえて首席客演指揮者に就任したウルバンスキだが、その才能は国際的に広く注目を集めており、2014年5月にはベルリン・フィルへのデビューが予定されている。今後どれだけ華々しい活躍を繰り広げることになるのか、楽しみな限り。今のウルバンスキを日本で聴けるというのは幸運というほかない。
 曲目はペンデレツキ「広島の犠牲者に捧げる哀歌」、モーツァルトのピアノ協奏曲第18番、ブラームスの交響曲第2番。モーツァルトではフセイン・セルメットが共演する。NHKの『スーパーピアノレッスン』でもおなじみのトルコの名手だ。
 ウルバンスキは徹底してスコアを読み込んで、慣習的な解釈にとらわれずに、作品を洗いなおすというタイプ。これまでの東響との共演では、リハーサルからスコアを暗譜して登場したという。本人の談によれば「事前に勉強しているうちに覚えてしまう」のだとか。また「スコアを勉強するときは他の演奏家の録音は聴かないようにしている」とも語る。作品の真価を改めて伝えてくれるような、清新なブラームスを聴かせてくれるにちがいない。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2013年12月号から)

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