小山実稚恵の室内楽 〜ブラームス、熱く深い想いをつなげて

ブラームスの傑作を共感しあえる名手と共に


 日本を代表するピアニストの小山実稚恵が、第一生命ホールを舞台に新シリーズ「小山実稚恵の室内楽〜ブラームス、熱く深い想いをつなげて」をスタートさせる。「最近は“弾く”ことよりも、“感じる”ことに喜びを見出している」と小山。彼女の静かな、しかし熱い気持ちが、客席へと広がってゆく。
 「ブラームスは、深くじっくりと構えたやさしさが感じられて、胸に沁みます。聴き終わった後に、静かだけれど熱い感動がいつまでも残って…」。シリーズ開始のきっかけは2年前、アルティ弦楽四重奏団と共演し、ブラームス「ピアノ五重奏曲」ほかを弾いたステージ。「尊敬できる皆さんと、一瞬一瞬を共に感じられるのがうれしい」と言う。
 シリーズでは毎回、ブラームスの作品を核に据え、編成や成立経緯などで関連性を有する、他の作曲家の佳品を組み合わせる。初回は、「音楽的にギリギリを攻めつつ、絶妙の均衡を保つ。本当に圧倒的」と小山が評する、アルティ弦楽四重奏団が登場。前半はブラームス「弦楽四重奏曲第3番」を。後半は小山が加わり、シューマン「ピアノ五重奏曲」を披露する。
 また、第2回では「霊感に満ちた集中力がすばらしい。共演は20年来の悲願」(小山)という、アルティ弦楽四重奏団のメンバーで世界的ヴィオリスト、川本嘉子とのデュオで「3大B」。ブラームス「ヴィオラ・ソナタ第1番」を軸に、「F.A.E.ソナタ」から「スケルツォ」、バッハ「ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第2番」、ベートーヴェン「チェロ・ソナタ第3番」(いずれもヴィオラ編曲版)を弾く。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年9月号より)

第1回 ピアノ五重奏 アルティ弦楽四重奏団とともに 
2018.9/30(日)14:00
第2回 ヴィオラ&ピアノ・デュオⅠ 川本嘉子とともに 
2018.12/22(土)14:00
第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 
http://www.triton-arts.net/