ロシア国立交響楽団(スヴェトラーノフ・オーケストラ)

名門楽団が響かせる“魂の叫び”


 独特の重厚なサウンドで、世界中の聴衆を魅了する名門・ロシア国立交響楽団が、日本人として初めて同交響楽団の指揮者ポストを歴任した西本智実に率いられ、7年ぶりの来日を果たす。この楽団を「伝統を紡ぎつつも、新しい時代を率先するスタイルを持っている」と評する西本。渾身のパフォーマンスで現出される、魂の叫びに身を委ねたい。
 ロシア国立交響楽団は、1936年に創設。アレクサンドル・ガウクをはじめ巨匠らが音楽監督を務め、そのサウンドを磨き上げた。特に65年にエフゲニー・スヴェトラーノフが就任して以来、ロシア作品の名録音を次々に発表し、国際的な評価も急上昇。30年以上にわたる偉業を称えて、「スヴェトラーノフ・オーケストラ」の異名もとる。
 「ロシアは、指揮者としての私を育ててくれた、音楽的な故郷。サンクトペテルブルクやモスクワでの指揮は、新しい扉を開いてくれました」と西本。今回は、チャイコフスキーの交響曲第5番を核に、同第6番「悲愴」(9/13)や、名ピアニストのリリヤ・ジルベルシュタインをソリストに迎えた、ラフマニノフの協奏曲第2番ほか(9/15)を組み合わせる。「作品から感じられる哀しみは、人間チャイコフスキーの哀しみ。彼の真意は作品の中に生き続けています。音楽の一言一句に込められたメッセージを、実演で蘇らせたい…。皆さまと様々な思いを共有できますことを、オーケストラと共に心待ちにしています」(西本)
 また、俊英マリウス・ストラヴィンスキー指揮で、チャイコフスキーの交響曲第5番ほかを披露するステージ(9/17)も開かれる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年9月号より)

西本智実(指揮)
2018.9/13(木)19:00 サントリーホール
2018.9/15(土)14:00 横浜みなとみらいホール*

マリウス・ストラヴィンスキー(指揮)
2018.9/17(月・祝)14:00 東京オペラシティ コンサートホール

問:テンポプリモ03-3524-1221/神奈川芸術協会045-453-5080*
http://www.tempoprimo.co.jp/ 
※全国公演の日程は上記ウェブサイトでご確認ください。