マクシム・エメリャニチェフ(指揮) 東京交響楽団

時代の先端をいく新星と名匠の2人で聴かせるドイツの本格派プロ

 指揮のマクシム・エメリャニチェフとピアノのスティーヴン・ハフ。東京交響楽団の東京オペラシティシリーズ第105回と第109回新潟定期に、ヨーロッパを席巻するふたりの才人が招かれる。プログラムはメンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」、ブラームスの交響曲第1番という本格派ど真ん中。
 マクシム・エメリャニチェフは1988年、ロシア生まれ。フォルテピアノ奏者、チェンバロ奏者でもあり、モダン・オーケストラとバロック・オーケストラの両方で活躍する気鋭の若手である。古楽アンサンブル、イル・ポモ・ドーロの首席指揮者を務め、次シーズンにはスコットランド室内管弦楽団の首席指揮者に就任することが発表されている。鍵盤楽器奏者としては、フォルテピアノを弾いてモーツァルトのソナタ集の録音をリリースするほか、鬼才クルレンツィス指揮によるモーツァルトのダ・ポンテ・オペラでは通奏低音を担っている。
 まさに才気煥発という言葉がふさわしい新星だが、東京交響楽団からどんなサウンドを引き出してくれるだろうか。有名曲ぞろいのプログラムなので、エメリャニチェフのキャラクターがはっきりと伝わってくることだろう。
 また、イギリスを代表する名匠スティーヴン・ハフとの共演も楽しみだ。世界最高峰のソリストで「皇帝」を聴けるチャンスは決して多くはない。記憶に残る名演を期待したい。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2018年9月号より)

東京オペラシティシリーズ第105回
2018.9/29(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511

第109回 新潟定期演奏会
2018.9/30(日)17:00 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
問:りゅーとぴあチケット専用ダイヤル025-224-5521 
http://tokyosymphony.jp/