山田和樹(指揮) 東京混声合唱団 特別演奏会

能楽堂で繰り広げられる旬のマエストロとっておきのプログラム

山田和樹
C)平舘 平
 東京混声合唱団が神奈川県立音楽堂で開催している「音楽堂アフタヌーン・コンサート」。今年は同館が改修工事に入ったため、すぐ隣の横浜能楽堂で行われる。東京・根岸に1875年に建てられ、その後移築された、関東最古の伝統を誇る能舞台だ。
 トップ合唱団の能舞台公演——この不思議なめぐりあわせに、欧州でも評価がうなぎ上りの同団音楽監督の山田和樹が、とっておきの曲を選んでくれた。柴田南雄が1970年代に作曲したシアターピースの名作「追分節考」と「萬歳流し」だ。シアターピースでは歌い手は動き回り、会場は歌と声が混然と行き交うカオスとなる。柴田は日本古来の民謡をこの混沌へと投げ込むことで、私たちの体内に眠る音感を刺激する。東混が委嘱・初演した「追分節考」では尺八に関一郎、藤原道山と、邦楽の新境地を切り開いてきた2人の名手が共演する。「コンダリラ」(S.リーク)はオーストラリアに伝わる滝の精霊のこと。澄み切った森の空気、小鳥たちの鳴き声に癒される。さらに合唱でフリージャズに挑戦。意気を感じる“攻め”のプログラムだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2018年7月号より)

2018.8/23(木)14:00 19:00 横浜能楽堂
問:チケットかながわ0570-015-415
http://www.kanagawa-ongakudo.com/