上岡敏之(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

今年のリクエスト・プロはロシアのロマン派名曲で


 お客様にもっとコンサートに参加してもらおう。そんなオーケストラの姿勢が打ち出されているのが、新日本フィル #592 トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉。定期演奏会で来場者からリクエストを募り、そこから選んだ曲目を音楽監督の上岡敏之が指揮するというリクエスト・コンサートになっている。
 今回の曲目はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番とチャイコフスキーの交響曲第5番が組み合わされたロシア音楽プログラム。前回はパガニーニとベルリオーズを組み合わせたヴィルトゥオーゾ・プログラムだったが、今回はロシア音楽のなかでもとりわけ人気が高く、濃厚なロマンティシズムにあふれた二大傑作が選ばれることとなった。ラフマニノフはチャイコフスキーを敬愛しており、リクエスト・コンサートといえども、音楽史的な繋がりの感じられるプログラムになっている。
 ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番で独奏を務めるのは、ロシアに生まれドイツで学んだオルガ・シェプス。ECHOクラシック賞新人ピアニスト部門をアリス=紗良・オットと二分して脚光を浴び、巨匠アルフレート・ブレンデルの薫陶を受ける。すでに録音も多く、人気と実力を兼ね備えた新星といっていいだろう。
 チャイコフスキーの交響曲第5番ではマエストロ上岡の自在の棒にも期待できそうだ。起伏に富んだ大きなドラマを描いてくれるのではないだろうか。
 なお、同公演は新日本フィルと地域拠点契約を結んでいる岐阜の可児市文化創造センターでも開催される。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2018年7月号より)

#592 トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉リクエスト・コンサート
2018.7/27(金)19:00、7/28(土)14:00 すみだトリフォニーホール
新日本フィルハーモニー交響楽団 サマー・コンサート2018
2018.7/29(日)16:00 可児市文化創造センター
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815(7/29以外)
  可児市文化創造センター・インフォメーション0574-60-3050(7/29)
http://www.njp.or.jp/