第137回 スーパー・リクライニング・コンサート 中桐 望 ピアノ・リサイタル

フランス・ピアノ作品の美点をまっすぐに伝える

 しなやかさと凛々しさを兼ね備えた音楽性で、東京藝術大学在学中の2012年、浜松国際ピアノコンクール、マリア・カナルス国際音楽コンクールで第2位となり注目を集めた中桐望。その後、2年間のポーランド留学などを経て自らの音楽の幅を広げ続けている彼女が、Hakuju Hallのスーパー・リクライニング・コンサートに登場する。
 プログラムは、オール・フランスもの。リクライニング・コンサートのコンセプトに合った、ドビュッシー「2つのアラベスク」や「月の光」、サティ「3つのジムノペディ」第1番といった曲目に加えて、彼女の細やかではっきりとした音が生きるであろう、ラヴェル「水の戯れ」など、色彩豊かな作品が並ぶ。一方、「亡き王女のためのパヴァーヌ」やフォーレ「夢のあとに」といったメランコリックな雰囲気漂う作品で、どんな心情を描きあげるのかも楽しみ。
 丁寧な音楽づくりが魅力のピアニストだけに、作品の美点をまっすぐに伝えてくれることだろう。Hakuju Hallというピアノにぴったりの空間で、今フランスものに挑もうとする中桐の新しい一面を聴くことになりそうだ。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2018年7月号より)

2018.7/26(木)15:00 19:30 Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700
http://www.hakujuhall.jp/