東京バレエ団 ブルメイステル版『白鳥の湖』待望の再演!

 東京バレエ団が6月16日より、約2年半ぶりにブルメイステル版『白鳥の湖』を再演する。今回初役となる沖香菜子と宮川新大(あらた)が一部リハーサルを公開、斎藤友佳理芸術監督とともに今の心境を語った。
(2018.6/12 東京バレエ団 Photo:J.Otsuka/Tokyo MDE)

左より:沖 香菜子、宮川新大、斎藤友佳理芸術監督

 斎藤が2016年に同団芸術監督就任にあたり、新体制で臨むビックプロジェクト第1弾として上演されたブルメイステル版『白鳥の湖』。1953年にモスクワ音楽劇場で初演された同版は、パリ・オペラ座バレエ団が『白鳥の湖』初演に採用し、ミラノ・スカラ座バレエ団もレパートリーにしている名版だ。
 チャイコフスキーと血縁関係にあたるブルメイステルが、チャイコフスキーの原曲に立ち返り、オリジナルの構想を物語にしている。ドラマティック性が強い演出で、とくに各国の民族舞踊の踊り手が、実は悪魔ロットバルトの手先として王子を眩惑する第3幕が特徴的だ。

 斎藤は同版が東京バレエ団にふさわしいと考え、新たにレパートリーに加えた。16年の初演時には舞台装置を一新、今回の上演では、1953年のブルメイステル版初演時のデザインを基にロシアのデザイナーと工房に依頼し、衣裳と小道具約200点以上を新製作して臨む。斎藤は「『白鳥』は上演したい時にいつでもできる状態にしたかった。衣裳も新製作し、その状況が整いました。将来につながるようにしていきたい」と想いを語る。

斎藤友佳理芸術監督

 

 今回の上演は、6月16日の鎌倉公演を皮切りに、東京、山口、益田(島根)、倉吉(鳥取)と全国5都市、計7公演行う。主演は、上野水香と柄本弾、 川島麻実子と秋元康臣、そして初役となる沖と宮川という3組のプリンシパル。斎藤は「古典でしかできないことですが、3組それぞれの個性が活きるように違う振りを認めるべきだと考えています。大切なのは、作品の情景や役柄がその人の身体と踊りを使って、お客様にどう伝えられるか。そこに意味があると思っているので、3組とも全然違います」と語る。

 リハーサルが佳境を迎えた沖と宮川は、『白鳥』に挑む今の思いを次のように語る。
「『白鳥』は古典の中の古典。クラシックバレエの基本なので、難しいのはもちろんですが、そこをクリアにしていかなければいけない。パートナーの新大君とは話しあいながらパ・ド・ドゥを創りあげていきたいと思っています。
 私の課題はキャラクターが幼くならないこと。これまで悪役の女性を踊ったことがなく、オディールは新しい挑戦です。オデットは初々しさと色気を、オディールは王子を引きつける大人っぽさ、怖さ、強さを表現したい」(沖)

リハーサルより沖 香菜子
Photo:Mizuho Hasegawa

「ブルメイステル版はロシアのダンチェンコ劇場(モスクワ音楽劇場バレエ)で観た時に『面白い』と思った演出です。私は王子役の経験が人一倍少ないので、何もないところからのスタートでした。いままで踊ってきた役とは違い、自分のなかでのゴールがまだ見えていない、自分が思っていたことが身体で表現できなかったりと、葛藤が大きいです。振りが決められていない部分をどう創っていくか、演技が課題です。パートナーの沖さんとはお互い意見を言いながら創っています。女性が引き立つようにサポートしたいと常に意識を持ちながら踊っていますが、『白鳥』では沖さんが気持ちよく踊れるよう努力したいです。そして幕があがる1秒前まで役をつきつめたい」(宮川)

リハーサルより宮川新大
Photo:Mizuho Hasegawa

 4月にプリンシパルに昇格したばかりの二人。斎藤は彼らに「ハングリーで謙虚な気持ちを忘れないでほしい」と語る。
「プリンシパルはバレエ団の一番上の地位ですが、そこで満足はしてほしくない。彼らには色んな役を踊ってほしいと最初に言いました。常に大きな課題を持って取り組んでほしい、それが私の願いです」

左より:宮川新大、沖 香菜子、斎藤友佳理芸術監督

 一方、昇格し、2ヶ月経った今を沖と宮川はを次のように語った。
「プリンシパルになったからといって変化はありません。どの立場であっても、一つの舞台、一つの役に向けて創っていくという気持ちは変わらないので、自分の中で変わったことはありません」(沖)

沖 香菜子

「プリンシパルになるということの重大さ、プレッシャーはあります。ファーストソリストとプリンシパルで見せる踊りは違っていないといけないし、求められるものも多くなります。プリンシパルとしてのゼロ地点に立ったので、プリンシパルの“ゼロ”からスタートしていきたいと思っています」(宮川)

宮川新大

 16年に、ブルメイステルの娘ナタリヤ・ブルメイステルが来日し公演を観た際に、「(1953年の)初演の舞台を思いだした」と絶賛したという。再演にあたり新たなキャストを主演に迎え、東京バレエ団のさらなる進化を目の当たりにしたい。

左:宮川新大 右:沖 香菜子

東京バレエ団 
ブルメイステル版『白鳥の湖』全4幕

出演:上野水香、柄本 弾
6/16(土)14:00 鎌倉芸術館 
6/29(金)18:30 東京文化会館
7/ 6 (金)18:30 島根県芸術文化センター「グラントワ」

出演:川島麻実子、秋元康臣
6/30(土)14:00 東京文化会館
7/ 8 (日)13:00 倉吉未来中心

出演:沖香菜子、宮川新大
7/ 1 (日)14:00 東京文化会館
7/ 4 (水)18:30 山口市民会館

問:NBSチケットセンター03-3791-8888(6/16以外)
  鎌倉芸術館0120-1192-40(6/16のみ)
http://www.thetokyoballet.com/