アラン・ギルバート(指揮) 東京都交響楽団

楽団との絆を一段と深めて切り拓く新たなイメージ

アラン・ギルバート
C)T.Tairadate

東京都交響楽団の首席客演指揮者アラン・ギルバートの就任披露公演が、この7月に開かれる。2011年7月に都響に初登場して以来、たびたびの名演で客席を沸かせてきたギルバートが、同楽団との絆を一段と深めて新たなステージへと向かう。これまでにニューヨーク・フィル音楽監督をはじめとする要職を歴任し、ベルリン・フィルやロイヤル・コンセルトヘボウ管といったトップクラスの楽団にたびたび客演するギルバートをこのポストに迎えたことは、都響にとっての大きな財産となりそうだ。
今回の就任披露公演のプログラムは、シューベルトの交響曲第2番とマーラーの交響曲第1番「巨人」という組合せ。シューベルト作品は18歳で書かれた若き日の傑作。モーツァルトやベートーヴェンといった先人たちの影響をにじませながらも、はつらつとしてのびやかな躍動感と抒情性はシューベルトならでは。フレッシュで勢いのある意欲作は、就任披露にふさわしい。
マーラーはシューベルトと時を隔てて同じウィーンで活躍した作曲家。完成形に至るまでには数年にわたる紆余曲折のあった「巨人」だが、24歳頃から作品に取り組んだことを考えれば、これもまた若き日の意欲作である。マーラーの演奏に関しては、都響にはインバルら名指揮者たちによる輝かしい伝統があるが、ギルバートにとってもマーラーは重要なレパートリー。どんな化学反応が起きるのか、興味津々。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2018年6月号より)

都響スペシャル アラン・ギルバート首席客演指揮者就任披露公演
2018.7/15(日)、7/16(月・祝)各日14:00 サントリーホール
問:都響ガイド0570-056-057
http://www.tmso.or.jp/