【出演者変更】第36回 名古屋クラシックフェスティバル

ワールドクラスのアーティスト達による華やかな祭典が開幕

*出演者変更のお知らせ
「第36回 名古屋クラシックフェスティバル」のNDRエルプフィルハーモニー管弦楽団公演にソリストとして出演予定であったピアニストエレーヌ・グリモーは、肩の故障のため、来日が不可能となりました。代役としてアンナ・ヴィニツカヤが出演いたします。曲目の変更はございません。(ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調)
詳細は下記ホームページをご確認ください。
http://cte.jp/


中京地区のクラシック音楽シーンを華やかに彩る「名古屋クラシックフェスティバル」が今年も開催される。この9月から2019年2月までの全8公演にわたり、オペラ、バレエ、オーケストラ、ピアノなど幅広い分野から世界的なアーティストを招く。会場は日本特殊陶業市民会館フォレストホール(名古屋市民会館大ホール)と愛知県芸術劇場コンサートホール。
開幕を告げるのはアリス=紗良・オットのピアノ・リサイタル(9/24)。ドイツ人と日本人の両親を持つアリスだが、今回のプログラムではパリで活躍した作曲家たちがとりあげられる。今年没後100年を迎えたドビュッシーの「ベルガマスク組曲」、サティの「ジムノぺディ第1番」、ラヴェルの「夜のガスパール」、祖国ポーランドを離れパリのサロンで時代の寵児となったショパンの「バラード第1番」他。瑞々しくフレッシュな感性で、作品から新たな魅力を引き出してくれるのではないか。
ブルガリア国立歌劇場は、劇場総裁でもあるプラーメン・カルターロフの演出によるビゼーの《カルメン》を上演する(10/7)。奔放なカルメンと堅物ドン・ホセの愛憎劇は何度観ても色褪せることのない不滅の傑作だが、今回の演出はギリシャ古典劇と日本の「能」に着想を得ているという。指揮の原田慶太楼は同プロダクションをブルガリアの現地で指揮して、成功を収めている。
ドイツの名門、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団(旧ハンブルク北ドイツ放送交響楽団)は次期首席指揮者のアラン・ギルバートとともに登場(11/7)。メイン・プログラムはブラームスの交響曲第4番。北ドイツのオーケストラで聴くにはぴったりの選曲だ。ラヴェルのピアノ協奏曲では、エレーヌ・グリモーがソロを披露する。
バレエではウクライナからキエフ・バレエを招き、名作中の名作『白鳥の湖』が上演される(12/2)。プティパ、イワノフ、ロプホフの原振付による古典的な舞台が、150年の歴史を誇る同劇場の底力を伝えてくれるにちがいない。
大きな話題を呼びそうなのは、鬼才イーヴォ・ポゴレリッチのピアノ・リサイタル(12/6)。かつてショパン・コンクールで落選したことで物議を醸したポゴレリッチも今年60歳を迎える。その強烈なカリスマと大胆な作品解釈は健在。モーツァルトの「アダージョ ロ短調」、リストの「ピアノ・ソナタ ロ短調」、シューマンの「交響的練習曲」を演奏する。
パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団は、今回のフェスティバルのハイライトとなるかもしれない(12/13)。このコンビは常にエキサイティングだ。ヒラリー・ハーン独奏のモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」と、シューベルトの交響曲第8番「ザ・グレイト」で、鮮烈なサウンドを聴かせてくれることだろう。
プラハ国立劇場オペラはモーツァルトの人気作《フィガロの結婚》を上演する(2019.1/12)。かつてモーツァルト自身がこの劇場で指揮をしたゆかりの名作だけに、《フィガロ》は自家薬籠中のレパートリーだ。
オペラ・ファンにとっては名テノール、マルセロ・アルバレスのスペシャル・コンサートも楽しみな公演である(2019.2/10)。メトロポリタン・オペラをはじめ世界の主要歌劇場で活躍するテノールが、東京ニューシティ管弦楽団と共演し、プッチーニの〈誰も寝てはならぬ〉や〈星は光りぬ〉といった名アリアを歌う。
例年にも増して多彩なラインナップが組まれた。記憶に残る名演を期待したい。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2018年6月号より)

2018.9/24(月・休)〜2019.2/10(日)日本特殊陶業市民会館フォレストホール、愛知県芸術劇場コンサートホール
問:中京テレビ事業052-588-4477
http://cte.jp/36cf/