【CD】ポンセ作品集 カンシオン・メヒカーナ/福田進一

 マヌエル・ポンセ没後70年を記念してのアルバム。作風の変遷を体感することのできる目配りに富んだプログラミングだが、演奏もまた磐石の一語。「組曲イ短調」サラバンドでの板についた歌い口、「3つのメキシコ民謡」で聴かせる細かい走句にまで正確で神経の通った奏楽、「ソナタ第3番」での明晰な造形と力強さ…。セゴビアにあやかってヘルマン・ハウザー3世が製作した祖父1世の復刻モデル「ジュビリー」(セゴビアのポンセ録音の大半は1世の楽器を用いたという)を使用というこだわりも嬉しい。かの有名な名品「エストレリータ」も収録されていますよ。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2018年6月号より)

【information】
CD『ポンセ作品集 カンシオン・メヒカーナ/福田進一』

ポンセ:6つの前奏曲(セゴビア版)、組曲イ短調、4つの小品、3つのメキシコ民謡、ソナタ第3番、しおれた心、スケルツィーノ・メヒカーノ、エストレリータ

福田進一(ギター)

マイスター・ミュージック
MM-4031 ¥3000+税