鈴木秀美(指揮/チェロ) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

「疾風怒濤」期のハイドンと初期ロマン派の傑作を

鈴木秀美
C)K.Miura
 バロック・チェロの名手として知られる鈴木秀美は、近年、指揮活動にも積極的に取り組んでいる。自ら、オーケストラ・リベラ・クラシカを主宰して、音楽監督を務めるほか、2013年から山形交響楽団の首席客演指揮者のポストにある。これまでに、日本フィル、読響、神奈川フィル、京響、名古屋フィルなどのオーケストラに客演し、昨年は新日本フィルの定期演奏会でハイドンの「天地創造」を指揮した。
 2年ぶりの登場となる6月の東京シティ・フィルの定期演奏会では、ハイドンの交響曲第26番「ラメンタツィオーネ」、シューマンのチェロ協奏曲(弾き振り)、シューベルトの劇音楽「魔法の竪琴」序曲、交響曲第7番「未完成」を指揮する(ちなみに前回・第294回の定期演奏会はハイドンの交響曲第103番「太鼓連打」とシューベルトの交響曲第8番「ザ・グレイト」)。ハイドンは、古典派音楽に造詣の深い鈴木の十八番のレパートリーである。今回演奏される、ハイドンとしては珍しい短調の交響曲は、「シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒濤)」期の作品と推測されている。鈴木は、初期ロマン派の作品も得意としてきた。シューマンのチェロ協奏曲ではガット弦の魅力が堪能できるであろう。シューベルトの劇音楽「魔法の竪琴」序曲は、のちに「ロザムンデ」の序曲に転用された。「未完成交響曲」では、これまで耳にすることができなかったような新鮮な演奏が聴けるに違いない。
文:山田治生
(ぶらあぼ2018年6月号より)

第316回 定期演奏会
2018.6/8(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 
http://www.cityphil.jp/