アンドレス・オロスコ=エストラーダ(指揮) フランクフルト放送交響楽団

新時代を築く名門楽団と俊英たちの饗宴


 フランクフルト放送交響楽団は1929年創立の歴史と伝統を誇るオーケストラ。豊かにうたう弦楽器とダイナミックな管楽器の響きが特徴である。2014年、同オーケストラはコロンビア出身のアンドレス・オロスコ=エストラーダを首席指揮者に迎え、新時代の幕を開けることになった。オロスコ=エストラーダはウィーンで学び、いまもっとも勢いのある指揮者のひとりとして世界中から熱い視線を浴びている。オーケストラを自在に鳴らす術と情熱的で爽快感に富む指揮法は、カリスマ性と相まって聴衆を熱くする。また、3月にはウィーン響の次期音楽監督就任も発表されたばかりだ。今回はドヴォルザークの「新世界より」(6/9)とマーラーの交響曲第5番(6/14)で真価を発揮する。
 ソリストは破竹の勢いでスター街道を突っ走っている若き逸材たち。ヴァイオリンのダニエル・ロザコヴィッチは7つの民族の血を受け継ぐエキゾチックな風貌の持ち主。幼いころに「ヴァイオリニストになる」と決め、その道を邁進。すでに著名な指揮者、オーケストラとの共演を重ね、演奏のたびに大きな話題となっている。9歳から愛奏し、いまや「自分の曲」と語るメンデルスゾーンで天才性を発揮する(6/9)。
 ショパン・コンクールの覇者、チョ・ソンジンは正統的で純粋で心に深く響くピアニズムの持ち主。ラフマニノフの第2番では完全に脱力ができた自然な奏法と鍛え抜かれた美しい音色で、この協奏曲の美質を表現する(6/14)。
 伝統あるオーケストラと注目の指揮者に若き才能が加わり、聴き慣れた作品に新風を吹き込む。心が高揚するような至福の時間が訪れるに違いない。
文:伊熊よし子
(ぶらあぼ2018年5月号より)

2018.6/9(土)19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
6/14(木)19:00 サントリーホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
※全国公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.japanarts.co.jp/