横浜みなとみらいホール開館20周年 井上道義(指揮) 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 バーンスタイン生誕100周年記念演奏会

“作曲家”バーンスタインの偉業に光を当てる

 生誕100年を迎えたレナード・バーンスタインだが、作曲家としての偉業に光が当てられ、多くのコンサートで作品が聴けるのはうれしいこと。首都圏であってもあまりコンサートでは聴けない作品を“発掘”できるのは、アニバーサリー・イヤーならではの喜びだ。
 昨年、大阪でバーンスタインの大作「ミサ」を指揮した井上道義が、神奈川フィルハーモニー管弦楽団を指揮し、横浜みなとみらいホールの開館20周年をも祝うという記念演奏会は、まさにバーンスタイン再発見となるプログラム。ミステリアスな雰囲気を漂わせる「ハリル」。ヴァイオリン協奏曲風の「セレナード」。そして悩める大都会の夜を描き出し、ジャズの風味も印象的なピアノ協奏曲風の交響曲「不安の時代」。どれもがバーンスタインのシリアス路線を垣間見せる名作たちであり、ベテランの工藤重典(フルート)や、若手注目アーティストの山根一仁(ヴァイオリン)、福間洸太朗(ピアノ)といったソリストたちが新しい命を吹き込む。
 さらにはおなじみの『ウエスト・サイド・ストーリー』から、オーケストラのマスターピースとなりつつある「シンフォニック・ダンス」や、輝けるデュエットの名曲「トゥナイト」を。そして大作「ミサ曲」からの抜粋を加え、幅広い作品が一気に聴けるという趣向なのだ。鷲尾麻衣(ソプラノ)や古橋郷平(テノール)、大山大輔(バリトン)の出演も嬉しい。
 マエストロ・ミッキー(井上道義)ならではの多角的な選曲を楽しめるのはもちろん、これだけのソリストたちが集まるチャンスも貴重。作曲家バーンスタインに興味津々の方なら、絶対に聴き逃せない。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2018年4月号より)

2018.5/26(土)14:00 横浜みなとみらいホール
問:横浜みなとみらいホールチケットセンター045-682-2000 
http://www.yaf.or.jp/mmh/