新しい耳 テッセラの春・第22回 音楽祭

言葉と旋律が織り成す官能の世界

 「新しい耳」はピアニストの廻由美子が主宰、東京・三軒茶屋のサロン・テッセラを舞台に、春・秋の年2回開催される音楽祭。僅か70席あまりの小空間で繰り広げられる先鋭的なパフォーマンスは、聴衆の感性へ直接、訴えかける。第22回となる「春」は三夜構成。第1夜は梯剛之(ピアノ)、第3夜は寺嶋陸也(同)が出演。そして第2夜は、1920年代ベルリンのカバレット・ソングを特集し、言葉と旋律が、官能の世界を創り上げる。
 ドイツの「カバレット・ソング」はベルリンの酒場の出し物として、20年代を中心に大流行。濃厚なロマンティシズムを背景に、時に風刺を交え、歌詞と音楽で人々の心情を代弁。しかし、ナチス政権下になると、「退廃芸術」との烙印を押されて衰退した。
 歌うのは、詩と音楽にこだわり、演劇や映画、CM音楽など幅広く手掛けるヴォーカリストのHISASHI。廻のピアノを伴って、ブレヒトの戯曲に基づくカバレット・ソングの代表格であるヴァイルの《三文オペラ》から〈マック・ザ・ナイフ〉ほかを。さらに、フリードリヒ・ホランダー(1896〜1976)の作品など、独特の雰囲気を湛えた世界に斬り込む。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年4月号より)

第1夜 2018.5/18(金)19:00
第2夜 2018.5/19(土)16:00
第3夜 2018.5/20(日)16:00
東京/サロン・テッセラ
問:オーパス・ワン042-313-3213
http://www.atarashii-mimi.com/