住友郁治 ピアノリサイタル

「巡礼の年 第2年」全局に真っ向勝負

 この音楽家は、クラシックという枠組みなど、軽々と飛び越えていってしまう。しなやかな活動が光る、ピアニストの住友郁治。今回のリサイタルでは、“ピアノの魔術師”ことフランツ・リストが40年以上にわたって書き綴った独奏曲集「巡礼の年」から第2年「イタリア」全7曲に、じっくりと向き合う。
 国立音楽大学・同大学院を首席で終え、1992年の第5回国際リストコンクールをはじめ、国内外のコンクールで入賞、チェコで開かれた第2回ヤングプラハ国際音楽祭では、日本代表ピアニストに。ソリストや声楽の名伴奏者としても活躍の一方、演劇や映画の劇伴音楽を手掛けるなど、多才のアーティストとしても知られる。
 「巡礼の年」の第2年「イタリア」は、出版こそ後年となったが、まだ20代だったリストが作曲。南国への旅を通じて刺激された、若き天才の瑞々しい感性を反映すると共に、終曲「ダンテを読んで」など、深い精神性や宗教観も湛える。そんな作品の多様性が、住友の高い音楽性と深い洞察力により、浮き彫りとなることだろう。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年4月号より)

2018.5/6(日)14:30 東京文化会館(小)
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
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