宮田 大(チェロ)

チェロと吹奏楽が生み出すエキサイティングな世界

C)Daisuke Omori

 世代を代表するトップ・チェリストの宮田大が2年ぶりに東京佼成ウインドオーケストラの定期に登場。フリードリヒ・グルダ(1930〜2000)のチェロと吹奏楽のための協奏曲というエキサイティングなプログラムで共演する。
 20世紀を代表するピアニストで、作曲家、ジャズ・ピアニストでもあった巨匠グルダのチェロ協奏曲は、ハインリヒ・シフのために書いた1980年の作品。ロックやジャズ、民謡や古典舞曲などさまざまなイディオムに彩られた、ワクワクするようなエンターテインメントだ。だからもしグルダを聴くのが初めてという人も、安心して聴いてほしい。86年生まれの宮田も、この曲で初めてグルダを知ったという。
「やりたいことを全部詰め込んだような曲。学生の頃、自分の周りでこの曲が流行ったんです。聴いて聴いて!って、動画サイトとかを見て。グルダのピアノを聴いたのはそれからです。異端児とか鬼才とか書かれていることも多いですが、あのピュアなモーツァルトなどを聴くと、自分の言いたいことを素直に音楽で表現している人なんだなと感じますね。逆に、そうしていない人たちが可哀想に見えてくる。いい意味で、彼は音楽を神々しいものだと考えていない。リスペクトはあっても、ほんとうに自分の身近にとらえているイメージです」
 さすがに的確な評。もしグルダ本人が聞いたら、口の端でシニカルに笑いながら、「うん。それでいい」とうなずくにちがいない。宮田はこの協奏曲を、3年前に京都市交響楽団と、昨秋札幌交響楽団と弾いている。
「とはいってもなかなか生で聴ける曲ではないですし、しかも今回は吹奏楽専門のオーケストラとの共演。どう違うか自分も楽しみです」
 2年前の初共演以来、佼成ウインドのコンサートに足繁く通う、相思相愛の間柄。宮田にとっての吹奏楽の大きな魅力は「ブレス」にあるのだという。
「ヴァイオリンもピアノも、音が出る前のブレスでテンポも決まるし、音楽もすでにそこから始まっている。息と歌い方を意識するだけで、音が言葉に聴こえてくると思うんです。吹奏楽はそういうところで理にかなっているなと思います。音色的にも、実はチェロと吹奏楽はすごく相性がいいんです」
 なるほど、振幅の大きな歌い口で聴く者を魅了する宮田の演奏と、文字どおり息づかいの音楽である吹奏楽はマッチングがいいわけだ。指揮は同世代の川瀬賢太郎。
「彼もとことん歌う人なので楽しみです。自分も気持ちを押し込めずに、一緒に音楽作りができると思います」
取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ2018年4月号より)

東京佼成ウインドオーケストラ 第138回定期演奏会
2018.4/21(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:東京佼成ウインドオーケストラ チケットサービス0120-692-556 
http://www.tkwo.jp/