マティアス・バーメルト(指揮)

札響とは瞬時に相性の良さを感じました

C)Kim Haln

 バーメルトは、今年4月から札幌交響楽団の首席指揮者に就任する。1942年スイス生まれの彼は、「全く対照的な2人」と語るセルとストコフスキーの助手や、マゼール監督時代のクリーヴランド管の常任指揮者を務め、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ等の音楽監督を歴任。N響はじめ日本の楽団への客演も数多い名匠だ。札響とは2014年1・2月の定期演奏会で初共演。すぐに再共演が望まれ、16年の定期を経てシェフ就任と相成った。
「人間関係においてウマが合うかどうか瞬間的にわかるように、札響の場合も一緒にやっていけるとの気持ちを瞬時に抱きました。音楽的な方向性が同じで、リハーサルも楽しかったですし、コンサートも成功したと思います。このところポストに就くことに対して慎重になっていたのですが、札響ならば面白いことができるとの期待感をもって、お受けすることにしました」
 就任後の展開も実に楽しみだ。
「誰が聴いても『これが札響だ』とすぐにわかるサウンドが目標です。経験上、サウンド作りに最も適しているのは、モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェン等の古典派の音楽。トレーニングの意味も含めて、古典派を中心にしながら、新たな要素を組み入れていきたい。ともあれ何より大事なのはコミュニケーション。札幌の風土や楽団員と聴衆から学び、色々な人の話を聞きながら、何が皆のハートに届くかを探りたいと思っています」
 就任記念演奏会は4月の2公演。まず名曲シリーズは、フチーク(聴けば周知の「剣士の入場」)からロッシーニに至る、凝った内容の小品プロだ。
「前半は、サーカスの音楽に始まり、動物たち、道化師が出てきて、ワルツで締めます。後半はロッシーニ没後150年に因んで、彼の音楽を用いたブリテン、レスピーギの作品と本人の名曲を。午後のひととき、ご家族全員で楽しんでいただけるプログラムです」
 もう一つの定期演奏会は、モーツァルトの交響曲第29番とR.シュトラウス「アルプス交響曲」。
「29番はモーツァルト若き日の美しく規模の大きな作品。『アルプス交響曲』はあまり演奏されませんが、私は結構振っていますよ。それにモーツァルトとシュトラウスは、とても良い組み合わせだと思います」
 次いで9月の定期は、細川俊夫「瞑想〜3月11日の津波の犠牲者に捧げる」、ドビュッシー「管弦楽のための映像」、フォーレ「レクイエム」という透明感のあるプログラム(9/21,9/22)。そして19年1月の定期は、モーツァルト「セレナータ・ノットゥルナ」、自国スイスのマルタン「7つの管楽器、打楽器、弦楽のための協奏曲」、ブラームスの交響曲第2番(1/25,1/26)。こちらは彼の経歴を反映した選曲といえるだろう。
「9月は、合唱を取り入れたかったので、フォーレのレクイエムをまず選び、最初のシーズンにぜひ日本の現代音楽を取り上げたいとの思いから、哀しい音楽で、しかもフォーレの前に相応しい細川さんの作品を置きました。また技術的に難しいドビュッシーの『映像』は、没後100年を記念した選曲。1月は、弦楽器、管楽器の順に光を当て、最後に編成が大きくなる構成です」
 今後の方向性は「聴衆が何を期待するかによって変わっていく」と話すマエストロ。豊富なキャリアを生かしたパートナーシップへの期待は、限りなく大きい。
取材・文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年3月号より)

札幌交響楽団
マティアス・バーメルト 首席指揮者就任記念演奏会

名曲シリーズ
2018.4/21(土)14:00 
3/10(土)発売

第608回定期演奏会
2018.4/27(金)19:00、4/28(土)14:00 
2/23(金)発売

札幌コンサートホールKitara
問:Kitaraチケットセンター011-520-1234 
http://www.sso.or.jp/