マルクス・シュテンツ(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

ヘンツェの魅力を解き明かす

マルクス・シュテンツ
Photo:Molina Visuals

 2012年に86歳で亡くなったハンス・ヴェルナー・ヘンツェは、戦後ドイツ音楽をけん引した作曲家だった。前衛音楽が一世を風靡した時代にもいたずらに技法追求の競争には加わらず、一時は左翼思想に傾倒するなどユニークな立ち位置を貫いた。その創作はオペラから交響曲まで膨大な量に上り、スタイルは融通無碍で一言では語れないが、豊かなテクスチュアとヴァイタルなエネルギーは一貫している。
 さて、2月に新日本フィルを振るマルクス・シュテンツは、若き日にヘンツェによって才能を見出され、その作品を数多く取り上げてきた、まさにヘンツェのスペシャリスト。現在はオランダ放送フィル首席指揮者やソウル市立響のレジデント・コンダクターを務め、実りの時期に差し掛かってきた指揮者である。
 今回シュテンツは、ドイツ音楽の偉大な伝統にヘンツェを位置付ける2プログラムを、満を持して披露する。2月2日と3日は“交響曲の父”ハイドンの2つの交響曲、第22番「哲学者」、第94番「驚愕」から、1984年作曲の交響曲第7番につなぐ。ヘンツェは生涯にわたって10曲の交響曲を書いたが、第7番は管弦楽が広いパースペクティヴを描き出す冒頭楽章、緩徐楽章、スケルツォ風楽章、厚みのあるフィナーレと古典的なフォーマットがみられる。2月8日はワーグナー《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第1幕前奏曲、ベートーヴェン「英雄」の間に、初期のオペラ《鹿の王》を素材に90年代に作曲された「ラ・セルヴァ・インカンタータ」が挟まれる。この作品は音のヴェールが神秘的な世界を開き、スピード感あふれるロンドへと続く。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2018年2月号より)

第583回 定期演奏会 トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉
2018.2/2(金)19:00、2/3(土)14:00 すみだトリフォニーホール
第584回 定期演奏会 ジェイド〈サントリーホール・シリーズ〉
2018.2/8(木)19:00 サントリーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
http://www.njp.or.jp/