飯森範親(指揮) 東京交響楽団

才気が漲る近代管弦楽法の精髄

 東京交響楽団は、音楽監督ジョナサン・ノットのみならず、桂冠指揮者の秋山和慶やユベール・スダーンなど、楽団を熟知した名匠が継続的に定期演奏会を振っている点が、良き特徴をなしている。1994年から東響に関わる正指揮者の飯森範親もその一人。彼は、山響のモーツァルト、日本センチュリー響のハイドンの各シリーズなど、シェフを務める楽団を独自の視点で活性化させているが、東響では、絶賛を博した「ローマ三部作」などロマン派以降の華麗な作品を主軸に活動し、新味を加えている。
 そこで1月に聴かせるのは、プロコフィエフとラヴェルの管弦楽法が冴えた作品。まずハイドンを模したプロコフィエフの交響曲第1番「古典交響曲」では、古典派演奏で耳目を集める飯森の料理法が興味深い。メインのムソルグスキー「展覧会の絵」(ラヴェル編)は、言わずと知れた管弦楽の醍醐味満載の名曲。飯森の的確なタクトと、充実顕著な管楽器陣をはじめとする東響の妙技に浸れれば十分だろう。
 もう1つはプロコフィエフ20歳過ぎの野心作、ピアノ協奏曲第1番。明快さとモダニズムが同居した面白い音楽ながら、生演奏の機会が少なく、これだけでも足を運ぶ価値がある。しかもソリストはアレクサンダー・ガヴリリュクだ。2000年浜松、05年ルービンシュタイン両コンクールで優勝した彼は、超絶技巧とモダン性が持ち味。アシュケナージ指揮のプロコフィエフ協奏曲シリーズの第1番の録音でも鮮烈な快奏を披露しているので期待値は高い。
 17年1月の「アレクサンドル・ネフスキー」に続く、飯森のプロコフィエフ(&ロシアもの)を、こぞって堪能しよう。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年1月号より)

第657回 定期演奏会
2018.1/12(金)19:00 サントリーホール

第133回 名曲全集
2018.1/13(土)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 
http://tokyosymphony.jp/

第105回 新潟定期演奏会
2018.1/14(日)17:00 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館コンサートホール
問:りゅーとぴあ025-224-5521 
http://www.ryutopia.or.jp/


『ぶらあぼ』2017年11、12月号 誤記訂正のお知らせ

ぶらあぼ2017年11月号コンサートギャラリー広告(P.119)、同12月号コンサートギャラリー広告(P.106)で2018.1/12(金)サントリーホールでの第657回定期演奏会の公演情報に誤記載がありました。訂正いたします。

誤:14:00開演→正:19:00開演