ローラン・テシュネ(アンサンブル室町代表・芸術監督)& 鷹羽弘晃(指揮)

10年目のアニバーサリーを新宿歌舞伎町で祝う!?

 和楽器と古楽器が一堂に会し、モダンダンスや日本舞踊、口笛やジャグリング、朗読まで加わり現代作品を演奏するアンサンブル室町。2007年に第1回演奏会が開催され、17年は10年目となる。
「今年はアンサンブル室町の記念年」と熱く語るのは、チェンバロ奏者で芸術監督のローラン・テシュネ。10周年記念の演奏会が12月22日に開催される。
「“祝祭”の意味合いもあるので、クラシック音楽のコンサート会場とはひと味違う歌舞伎町の新宿FACEを会場に決めました。外国人観光客にも大人気の歌舞伎町ですが、ここは普段は格闘技も行われるイベントスペースで、舞台設営などいつもの演奏会とは異なる工夫を凝らそうと考えています」(テシュネ)
 テシュネが全幅の信頼を置いている鷹羽弘晃が指揮を務める。アンサンブル創設時から指揮、作曲で参加してきた鷹羽だが、アンサンブル室町の活動は古楽器と和楽器の融合という点に新しさがあるという。
「現代の創作界において東西の楽器を組み合わせる試みは既にありましたが、私たちの特徴は古楽器という点です。たとえばフルートよりもトラヴェルソのほうがより和楽器と音響、リズムの面で相性がよく、自然にアンサンブルができるように感じています。古楽器のほうが、モダン楽器よりも楽器のルーツに近いということも強みになっていると思います」(鷹羽)
 プログラムは、これまでの歴史を回顧しつつ未来へとつなげるものになっている。
「演奏するのは全部で42曲で、これまで取り上げた作曲家の方に再度依頼しました。旧作の再演、新作の両方がありますが、曲数が多いので各曲は2、3分ほどの長さになります。何人かの作品の一部抜粋をコラージュして演奏する試みも企画中です」(テシュネ)
 一柳慧のようなベテランから青柿将大といった若手、現在活躍中の山根明季子、坂東祐大といった中堅まで、幅広い世代と作風の作曲家が顔を揃え、さらにベルギー、フランスの作曲家も含まれる。
「多彩な広がりのある作曲家の人選を心がけました。演奏順やダンスをどのように入れるかなどは、全作品が揃ってから調整していきます」(テシュネ)
 コンサート自体は1時間半くらいのプログラムになるという。
「アンコールとして聴衆のみなさんも一緒に参加できそうな仕掛けを思案中ですので、アンサンブル室町による“祝祭”を楽しく体感していただけることを願っています。日本以外にも和楽器に関心を寄せる作曲家はたくさんいますので、いつかパリなど海外公演も実現させたいですね」(鷹羽)
取材・文:伊藤制子
(ぶらあぼ2017年12月号より)

アンサンブル室町 in 歌舞伎町!!
2017.12/22(金)19:00 新宿FACE
問:東京コンサーツ03-3200-9755 
http://www.ensemblemuromachi.or.jp/