ポール・ルイス(ピアノ)

ドイツ音楽の深奥とユーモアを自在に表現

左:マーク・パドモア 右:ポール・ルイス C)Marco Borggreve

 骨のある企画で好事家をうならせてきたイギリスのピアニスト、ポール・ルイスが、この晩秋も凝った3プログラムを引っ提げ王子ホールに帰ってくる。テノールのマーク・パドモアと共演した2014年のシューベルト三大歌曲集は高い評価を得たが、今回ルイスは盟友パドモアと共に、2回のリサイタルでリートの歴史を一望してみせる。
 11月22日は珍しいハイドンの歌曲で始まり、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトと時代を下って、ピアノが重要な役割を果たすシューマンの連作歌曲「詩人の恋」へとたどり着く。24日はハイネに基づくシューマンの「リーダークライス」で前回の流れを引き受けながら、さらにブラームスへと時代を下り、ひとたびシューベルトへ戻った後、リート黄金期の最後の輝きとも言うべきヴォルフで締める。繊細な表現が要求されるリートだが、知性派二人は多彩なアプローチで詩の行間までも鮮やかに浮かびあがらせるだろう。ヴォルフは酒をテーマにした歌が選ばれているので、酔いの表現にも注目したい。
 29日には、3年がかり全4回からなるソロの新企画『HBB PROJECT』がスタートする。ユーモアのセンス溢れるハイドン(Haydn)と真面目で内向的なブラームス(Brahms)の後期作品を対比させ、双方の性格を併せ持ったベートーヴェン(Beethoven)のバガテルなどを絡め全体をまとめるというのが基本コンセプト。第1回はハイドン「ソナタ第50番」で始まり、ベートーヴェン「6つのバガテル op.126」を経てブラームス「6つの小品 op.118」と深まりをみせた後、再びハイドン「ソナタ第40番」に戻るという趣向だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2017年11月号より)

マーク・パドモア&ポール・ルイス 2017.11/22(水)、11/24(金)各日19:00
ポール・ルイス HBB PROJECT Vol.1 2017.11/29(水)19:00
王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990 
http://www.ojihall.jp/