ワレリー・ゲルギエフ(指揮) マリインスキー歌劇場管弦楽団

怒濤の熱演&庄司紗矢香との共演に期待!

 毎回ハイカロリーな演奏で聴き手を元気にしてくれるゲルギエフとマリインスキー歌劇場管弦楽団が、今年もやってくる! 12月6日のサントリーホールでのコンサートは、彼らならではのロシアン・テイストとパワーが堪能できるプログラムだ。
 演奏会はリムスキー=コルサコフの組曲「金鶏」で始まる。千夜一夜物語を主題にした「シェエラザード」の他に15作ものオペラを残すなど、絢爛たるオーケストレーションによって物語を音楽化するコルサコフの腕前は超一流。「金鶏」はオペラから編まれた組曲で、王が占い師より献上された鶏の声を表すトランペットが印象的。エキゾチックで謎めいたテイストや激しい戦いの描写など、コルサコフの魅力が存分に味わえる。
 後半のベルリオーズ「幻想交響曲」も、失恋した芸術家がアヘンを飲み自殺を図って、生死の境で見た幻想がテーマになっている。妄想の中で彼は恋人を殺しギロチンにかけられ、葬儀に集まった悪魔の宴に再び彼女の姿を見出す。
 マリインスキー管は歌劇場の座付きオーケストラだから、これらの曲も物語性重視の演奏になると予想。また庄司紗矢香がショスタコーヴィチの「ヴァイオリン協奏曲第1番」を取り上げるのも聴きものだ。重苦しい夜想曲で始まり、第3楽章のパッサカリアから長いカデンツァを経て怒涛のフィナーレへと突入する。技巧性に加え瞑想的な表現からじわじわとテンションを形成する幅広い表現力が求められる曲だが、ゲルギエフのことだから心境著しい庄司との共演を通り一遍に終わらすことはないだろう。手に汗握る丁々発止へと発展するはずだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2017年11月号より)

2017.12/6(水)19:00 サントリーホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
※ワレリー・ゲルギエフ(指揮) マリインスキー歌劇場管弦楽団の全国ツアーの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。 
http://www.japanarts.co.jp/