【GPレポ】東京二期会《蝶々夫人》

 東京二期会が10月6日から9日に上演する、栗山昌良演出の《蝶々夫人》。大型屏風の背景画から小さな調度品、日本人らしい所作や作法など、細部まで神経が行き届いた、美しく、安心して観ていられる名舞台だ。2003年の改訂以来5回目の再演となる。
 ダブルキャストのうち、7日・9日のキャストによるゲネプロを観た。
(2017.10.5 東京文化会館 取材・文:林昌英 Photo:M.Terashi/TokyoMDE)

 このキャストの注目は、森谷真理の本作タイトルロール・デビュー。メトロポリタン歌劇場《魔笛》の夜の女王役での成功以来、欧米の歌劇場で活躍、最近では日本での出演も増えつつある。そのテクニックとパワー、そして美声で、観る者の感情を揺さぶる名ソプラノだ。意外にも初役ということでも注目を集めるが、海外での同役のオファーを断り続けた森谷は「所作や色づかいに〈日本〉が出ているこの舞台に、ぜひ出演させていただきたいと思いました」という。
 はたしてゲネプロでは、心のこもった演技と圧倒的な歌唱を両立させ、新しい「蝶々さん」の登場を印象付けた。声がオーケストラに埋もれることもなく、最後の絶唱は観る者の涙腺を刺激する。また、スズキを当たり役とする山下牧子も和装姿と所作が美しく、安定の歌唱で万全の存在感を示す。男声陣も良い仕上がりで、宮里直樹は立派な体躯で明るいピンカートンを熱演、今井俊輔もシャープレスの困惑や距離感を表現していた。
 オーケストラは、ガエタノ・デスピノーサ指揮の東京交響楽団。イタリア出身にして、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団でコンサートマスターを務めた経歴を持ち、近年日本での指揮も増えているデスピノーサ。その出自と歌劇場経験も踏まえ、明るく、くっきりとした音づくりをベースに、歌手と一体となった自在な表現を実現。木管の生命力ある表現、ハープの音色を活かした繊細な美しさなども印象的で、プッチーニのオーケストラの魅力を引き出した。
 また今回は、翌週15日、佐賀県鳥栖市の鳥栖市民文化会館大ホールでも同公演が開催される。6日・8日と同キャスト・同指揮者で、管弦楽は東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団。九州で二期会《蝶々夫人》の名舞台が体験できる、貴重な機会となる。


二期会創立65周年・財団設立40周年記念公演シリーズ
東京二期会オペラ劇場《二期会名作オペラ祭》プッチーニ《蝶々夫人》
(オペラ全3幕、日本語字幕付・原語(イタリア語)上演)
2017年10月6日(金) 18:30、7日(土) 14:00、8日(日) 14:00、9日(月・祝) 14:00
東京文化会館
(上演予定時間:約3時間(休憩1回を含む))
指揮:ガエタノ・デスピノーサ
演出:栗山昌良

配役
蝶々夫人:大村博美(10/6、10/8、10/15)森谷真理(10/7、10/9)
スズキ:中島郁子(10/6、10/8、10/15)山下牧子(10/7、10/9)
ケート:成田伊美(10/6、10/8、10/15)和泉万里子(10/7、10/9)
ピンカートン:古橋郷平(10/6、10/8、10/15)宮里直樹(10/7、10/9)
シャープレス:与那城 敬(10/6、10/8、10/15)今井俊輔(10/7、10/9)
ゴロー:高橋 淳(10/6、10/8、10/15)升島唯博(10/7、10/9)
ヤマドリ:小林由樹(10/6、10/8、10/15)鹿野由之(10/7、10/9)
ボンゾ:志村文彦(10/6、10/8、10/15)勝村大城(10/7、10/9)
神官:杉浦隆大(10/6、10/8、10/15)原田勇雅(10/7、10/9)

合唱:二期会合唱団
管弦楽: 東京交響楽団

《二期会名作オペラ祭》特別料金
一般:S¥10,000 A¥9,000 B¥8,000 C¥6,000- D¥4,000 
学生:¥2,000
チケットスペース03-3234-9999/二期会チケットセンター03-3796-1831
http://www.nikikai.net/lineup/butterfly2017/index.html
東京二期会 http://www.nikikai.net/

【関連公演】
2017年10月15日(日) 14:00 鳥栖市民文化会館
指揮:ガエタノ・デスピノーサ 
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
http://www.nikikai.net/lineup/butterfly2017_tosu/index.html