イザベル・ファウスト(ヴァイオリン) & アレクサンドル・メルニコフ(フォルテピアノ) 〜モーツァルト・チクルス〜(全3回)

現代屈指のコンビが天才の深奥に迫る

C) Marco Borggreve

 この公演のチケットが入手可能ならば、急いだ方がいい。王子ホールにおけるイザベル・ファウストとアレクサンドル・メルニコフのデュオだ。正攻法のアプローチに精妙なニュアンスをこめて楽曲の本質を抉る世界屈指のヴァイオリニストと、雄弁で生気に充ちた敏腕ピアニストの名コンビは、同ホールでベートーヴェン(2012年)、ブラームス(14年)のチクルスを行い、絶妙なコラボを披露してきた。
 そして今回は「モーツァルト・チクルス」。3日にわたる注目のヴァイオリン・ソナタ公演だが、第1日ならまだ間に合う。演目は、協奏曲風のK.306、ダイナミックなK.302、ストリナザッキとモーツァルトの名手共演のために書かれた光輝を放つ傑作K.454に、このほど抒情的なK.301が追加された。つまり華麗なプログラムに、天才の二重奏ソナタのスタート(K.301)と頂点(K.454)を体感する妙味が加わった。古楽にも造詣の深い2人のモーツァルトは期待大だし、ファウストのこまやかな古典演奏は小空間がベスト。これはビッグ・チャンスだ!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2017年10月号から)

第1日 2017.10/12(木)19:00 王子ホール 
※第2日・第3日は完売
問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 
http://www.ojihall.jp/